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小泉武夫でおすすめの本「不味い!」

チーズよく寝る本

本日も快眠を目指すため、寝る前読書にぴったりな本をおすすめします。

私の主な読書の時間帯は寝る前のひと時。一日働かせた頭をほぐすような本を読みたい時間帯でもあります。

そんな中でぴったりなのがグルメエッセイ。食べるという行為は基本、平和なものであり、それをテーマにしたものは読んでいるだけで和むよう。

東海林さだお先生の「丸かじりシリーズ」をはじめ、枕のそばには常に何かしらのグルメエッセイ(あるいはグルメ漫画)が置いてあります。

そんな中で、今日紹介するのは、ある種異色の不味い食べ物に焦点を絞ったエッセイ「不味い!」。

作者は発酵学の大権威、小泉武夫先生。くさいもの好きで世界のゲテモノ珍食を食べ歩いてきた、無敵とも思える先生の不味いもの談とは。

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世界の珍奇食を食べ歩いてきた小泉武夫先生が感じた「不味い!」

発酵学の権威小泉武夫先生とは

小泉武夫先生とは農学者にして発酵学者。また、その研究をもとに様々な本を描かれている文筆家でもあります。

何と言っても先生のすごいところは、世界の様々な珍奇食、ゲテモノ料理を実学として食べ歩いているところ。

「もやしもん」などで有名となった、世界三大発酵くさい料理、キビヤック(海鳥をアザラシの中で発酵させたもの)、ホンオフェ(エイのつぼづけ)、シュールストレミング(にしんの缶詰)をことごとく制覇されているツワモノ。

学者先生の書いたものだから、堅くて面白くないだろうとお思いかもしれませんが、さにあらず。

真面目で学術的なことをテーマにした本から、シンプルに読み物としてすごく面白い本まで多彩な著作を出されています。

今回紹介する「不味い!」はそんな小泉先生の中でもわかりやすいですし、読みやすく面白い本。

ただし、出てくるものが強烈にまずそうという難点はありますが(笑)

正直、不味いという感覚がないんじゃないかと思っていた

チーズ

他の小泉先生の本を幾つか読んだことがありますが「この人って不味いとか臭いって感覚が欠如しているんじゃないだろうか?」とすら思っていました。

とにかく、一般の人がまず躊躇するであろう食材も食べる食べる。世界のどんな地方のものだって臆せず食べるその探究心と度胸は尊敬すら覚えます。

特に、衛生観念的なことで「こんなもの食べたら食中毒おこすんじゃ…」というようなものでも、発酵学の権威からしたら何てこともないのでしょう。

机上ではなく、実際に体と舌を使って学問を探求し、新たな発酵の地平を切り開いていく姿は多くの著名人からも羨望をあつめているようです(様々な本に小泉先生の名前が出てきます)。

私の尊敬する東海林さだお先生との対談も読んだことがありますが、その時も大変くさそうな食事を振る舞っておられました。

無敵とも思える小泉武夫先生が不味いと感じたものとは?

男性

そんな世界のゲテモノ、臭いものなどことごとく制覇してきた小泉先生が「不味い!」と感じたものを集めた本書。

ある意味小泉作品の中でも特異な作品といえます。

一見、こんなものが不味いのかと思うようなものもあれば、これはやばいだろうと思うものまで。

普通のお店などで出てくる料理への言及もありますね。料理人の技術や熱意の問題で、単純に美味しくない料理という場面も。

おそらく、私たちが食べれば、世界の珍奇な料理よりは食べられるとは思うのですが、そういうことではないのだという食への敬意(食べ物を大事に調理する、愛情を持って作る)も見て取れます。

そういう普通のお店で出てくる料理などは何となく想像出来る不味さです。

しかし、やはり本書の見所はイメージもできない、想像を超えたところにある不味さでしょう。

イメージできない!蛇酒とカメムシで経験した想像を超えた不味さ

へび

「不味い!」の中で特にえげつないなぁと感じたのが蛇酒とカメムシの幼虫の話。

蛇酒のくだりは、かなり苦しみようで、あれだけ様々な発酵や菌を摂取してきた人でもこんな状態になるのかと。

通常の状態ではなく長年酒に使って、なおかつ管理か調理過程が適当だったのか若干腐りかけていたようです。蛇自体も食べたことがありませんが、さらにそれがヤバイ状態になったものはイメージの枠を超えています。

もう一つカメムシの幼虫のくだり。クサギカメムシの幼虫がとても美味しいとの噂を聞いて実食することになるのですが…。

食べた途端、口の中に成虫のカメムシの強烈な臭気が漂ってきたそうです。しかもその臭気が口の中を暴れまわる始末。

実際本書を読むと、小泉節でその様子が克明に描かれており、読んだものは戦慄するはず。

私は、虫の中で何が嫌いってカメムシほどきらいなものはないので、このくだりは心底ゾッとしました。

っというかいくら美味と噂されていても、絶対にカメムシの幼虫など食べたくはありません。まぁ、そこをチャレンジするところが食のパイオニア小泉武夫大先生なのでしょう。

不味そうだけど、気楽に読める本

鴨料理

私が通常の寝る前読書におすすめしている類の食べ物エッセイとは大分ニュアンスは違います。

出てくる食べ物に「おいしそうだなぁ」なんて描写は到底期待できませんが、世の中いろんな食べ物があるんだなぁとイメージは広がります。

それが大概はまずそうなものなのですが、それでもこうやっていろんな食を試してきた小泉武夫先生のエッセイは、どこか冒険談のようなものもはらんでいるので自分の知らない世界を知ることができるのもポイント。

読んでいると、きちんとした食へのありがたさなんかも再認識されますし、ちょいちょい学ぶものはあります。

いろんな不味いものが出てきますが、本自体は気楽に楽しめる構成となっていました。わりと学術的なものも多い小泉武夫先生の本の中でも、読みやすさにかけてはおすすめな本です。

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