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病気も面白エッセイに!東海林さだお先生の「ガン入院オロオロ日記」

東海林さだお先生の「ガン入院オロオロ日記」 よく寝る本

本日も快眠を目指すため、寝る前読書にぴったりな本をおすすめします。

私が最も好きな作家さん。それは東海林さだお大先生。

半世紀以上の長きにわたり、漫画家、エッセイストとして活躍し続けている大先生です。

東海林さだお先生の作品の魅力。人によって色々あるでしょうが、私にとっては何と言っても「面白さ」。

この「面白さ」という感情には色々なニュアンスが含まれますが、東海林先生の作品には日常を深く掘り下げた可笑しみが多分に含まれた「面白さ」です。

大爆笑系の「面白さ」やシュールな「面白さ」だと一時はすごく満足しても、やがて飽きるものがあります。

その点、東海林先生の作品には上記の成分も含みつつ、日常に潜む、共感性の高い「面白さ」で、まるで白米のように飽きることのない魅力があるのです。

このサイトでよく取り上げさせていただきますが、頭を使わない「面白さ」があり、寝る前の読書にも最適な作家さん。

東海林さだおワールドに浸っていると身も心もほぐれ、そんな油断しているところに可笑しみを含んだ「面白さ」が飛び込んでくるエッセイ。

本日紹介する「ガン入院オロオロ日記」もガンというテーマを扱いながら、軽妙にして洒脱、ユーモアを多分に含んだエッセイに仕上がっています。

東海林さだお先生もすでに80歳を超えて老境に。エッセイからは老境の視点と常に新鮮な感性がないまぜになった「面白さ」がほとばしっています。

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東海林さだお先生のエッセイの魅力とは!「ガン入院オロオロ日記」

自身のガン闘病経験をエッセイに

東海林さだお先生の作品では以前から、ちょくちょく不健康やダイエットの話題が出ていました。胆石を砕いたり、謎の電磁波療法の経験も。

その度に先生は奮起し、行動し、面白ろ可笑しいエッセイでその経験を伝えてくれていたのです。

しかし、今回はさしもの先生も「ガン」という大病に。家庭で健康グッズや食事療法で解決というわけにはいけません。

初めての長期入院に不安が見え隠れしますが、それでも普段の生活を深く掘り下げて観察する先生。病院での入院生活(40日におよんだそう)から、よくよく観察しないと考えもしないような事柄を文章に。

「ヨレヨレパジャマ族、威厳ヲ欲ス」というところでは、長期入院していると古老意識が芽生え次第に地位が上がってくるような気がするとか、外来患者に対し対抗意識が芽生えるなどの感想を。

それと入院患者独特のヨレヨレパジャマについて、数ページにわたって妄想入り組む論考(?)が書かれています。

通常の入院エッセイならば、自分の体調であったり、病院での生活について具体的な内容に話が及ぶことかとおもいます。

しかし、東海林先生はそんなことよりもヨレヨレパジャマを選び、話を膨らませるのです。類い稀なる妄想力も加味し、明後日の方向へ進んだまま入院日記は面白おかしく展開していきます。

老境に入り、新たな魅力を発揮しだした東海林先生

老人

東海林さだお先生はすでに80歳を超える老境に入られています。

おじさん時代にはおじさんなりの視点で世の中や日常をこねくりまわしておられましたが、その視点も老境視点に。

作家が老いると、作風もどこか枯れてきたりするものですが、ご安心を。東海林先生は老いたなりに、その体験を新鮮な感性でエッセイにしてくれています。

年寄りくさいとかそういうものはなく、今の状態を飄々と楽しみつつ、斜め視点からおちょくり面白く描き出す感じ。

感性を老いさせない。長期にわたって活躍するクリエイターや作家としてかなり重要なこと。これさえ老いなければ、たとえ高齢者になろうとも新鮮な作品を生み出し続けられます。

日本を代表する美術家、グラフィックデザイナーの横尾忠則さんも80歳を超えていますが、今なお斬新な作品を発表し続けています。

上記のNHK大河ドラマ「いだてん」のロゴなど、私を含め一般的なデザイナーなら恐ろしくてできないような、まさに横尾忠則としか言いようのない、とんがりまくったデザイン。だけどものすごく魅力的。

じいさま、ばあさまの元気な国や地域は魅力的なものです(若者も負けてられない!)。

東海林さだお節、その面白さ衰えず

寝る前にベッドで読書

「ガン入院オロオロ日記」はご自身のガン入院エッセイをはじめ、いくつかの作品が収録されています(「認知症時代の明るい老人哲学」なんて対談も)。

たとえば「官能でもう一度ニッポン」という作品では日本が誇った高齢者、泉重千代さんを例に長寿と女性への興味、官能について言及。

百歳過ぎても女人に興味を持ち続ける。なかなかできることではない。普通の人だったら、まあ、だいたい七十歳あたりからそっちへの興味は薄れていき、花鳥風月とか、そっちのほうへ興味が移っていく。
八十にもなれば女人への興味はさらに遠のき、九十で絶縁、百で西も東もわからなくなる。

最後の「九十で絶縁、百で西も東もわからなくなる。」と持ってくる流れ。短いながら、面白い方向にストンとオチがついていて「これぞ東海林先生!」とぞくぞくします。

テーマの選び方、話の展開の仕方も面白いのですが、言葉のチョイスが絶妙でなんでもないようなことでも面白みが2倍にも3倍にも。

落語で面白いフレーズって何度聞いても可笑しいように、東海林さだお節も何度読んでも面白いのです。そして、東海林ファンはその面白さの中毒となり「もっと、もっと!」と東海林作品を追い求め続けることに。

老境に入っても、その独特のフレーズに衰えは見えません。泉重千代さん以上に長生きをして、漫画やエッセイと作品を発表し続けて欲しいです。

寝る前に読むのにぴったりなグルメエッセイあり、旅行記ありの幕の内弁当

幕の内弁当

「ガン入院オロオロ日記」にはグルメや旅行、体験をテーマにしたエッセイも豊富。

グルメエッセイではミリメシと肉フェスと蕎麦について。旅行、体験は水陸両用バス、ガングロカフェ、蕎麦の里などを。

寝る前の読書で私が好む要素がたくさん詰まっています。どれも頭は使わないけれど、確実に面白み、可笑しみをぐいぐい突いて読み手を和ませる名作ばかり。

テーマも多岐にわたって、そのどれもが面白いのでエッセイ界の特上幕の内弁当(?)とでもいうべき本です。

余談ですが、私の密かな野望に身の回りに落語ファンと東海林さだおファンを増やしたいというものがあります。

お笑い好きと聞けば落語や寄席の良さを伝えて回り、読書好きと聞けば東海林さだお大先生の魅力を語るということをやっとります。

落語も東海林さだお作品も共通することは何度読んでも(聴いても)楽しめる、飽きない魅力があるということ。

東海林作品にはある種名人芸ともよべる魅力をたたえており、著名人にもファンはたくさんいるよう(文庫のあとがきで各人の熱意が書かれています)。

ちなみに、東海林先生のWikipediaに

日本におけるユーモアエッセイの一人横綱的存在とされ

なる一文がありましたが、まさにその称号がふさわしい、エッセイにおいては多の追随を許さぬ突き抜けた可笑しみがあります。

特に、このサイトのテーマ「寝る前の読書におすすめの本」の最も頂点に君臨する作家東海林さだお大先生。

頭をほぐし、気持ちをほぐし、可笑しみをほぐほぐして寝る前の心地よい気持ちに持っていくのに最適なエッセイ。

一人でもその面白さの魅力を知る人が増えますように!

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