時には映画の話でも。
昨年Netflixに登録してから、映画ライフが充実しています。
アマゾンプライムでもかなり満足度は高いのですが、Netflixはドキュメンタリー系やオリジナル映画が豊富なのが魅力。
そんな中で、これは!っと思った映画が「バード・ボックス」という作品。
煽り文句は「目を開けたら、最後」。独特の設定が、始終じわじわと不安を掻き立てる映画。
色々と謎な部分も多い映画ですが、その中でも不気味な「あれ」の正体について考察してみました。
※ネタバレ含みます。
Netflix映画「バード・ボックス」とは
「バード・ボックス」のあらすじ
「バード・ボックス」はNetflixのオリジナル映画です。
主演はサンドラブロック。以前観た「オーシャンズ8」で超絶かっこいい主人公を演じていましたが、「バード・ボックス」でも同様に、良い演技してます(参考:女優さんたちが超絶格好良くて美しい!痛快映画「オーシャンズ8」)。
簡単なあらすじをば。
冒頭、目隠しをした主人公(サンドラブロック)と同じく目隠しをした子供二人が小舟に乗ってどこかへ逃げようとしているところから始まります。
一転、過去のシーンへ。サンドラブロックは妊娠中。その頃、世界で謎の突発的自殺が流行りだします。
サンドラブロックが住む町でもそれが起こり町中でパニック状態に。そんな中彼女の妹も死んでしまう。妹は何かを観た瞬間に、ふらふらと自動車の前に飛び出して死んでしまいました。
世界中で蔓延する突発的自殺は、その何かを観ることが原因で起こっているよう。サンドラブロックは民家に逃げ込み、同じくそこに集まったメンバーと何とか生き延びようとします。
見たら死んでしまう、何者か正体のわからない「あれ」。見ることができない「あれ」の接近を鳥だけは感知するので、鳥かごを常に肌身離さずそばにおくことに。。。
「バード・ボックス」では正体のわからない「あれ」を見ると突発的に自殺をしてしまうので、どこかに移動する時には目隠しが欠かせない。
正体不明で姿を見ることができない「あれ」と常に目隠しを欠かせないという不安定な状態が、「バード・ボックス」の不気味な世界観を盛り立てています。
演技派俳優たちで魅せる映画
「バード・ボックス」は地味とまでは言えないけれど、昨今のホラーにしてはおとなしめな展開。
冒頭の町のパニックシーン以外は、どちらかといえば室内のシーンや森でのシーンが多いので、どうしても絵面的には地味になりがちです。
しかし、サンドラブロックを始め、俳優陣の演技力が高いので、それで魅せてくれる映画でもありました(逆にいえば、俳優陣が大根だったら最後まで見るのがしんどい設定)。
空気感は常にシリアスで、コメディー要素も皆無の骨太なホラーに仕上がっています(最近のホラーはコメディーに寄せすぎ)。
民家の外では、正体不明の「あれ」がうろついており、うっかり外にでて見てしまおうものなら、即死んでしまう。しかし、いつまでも閉じこもっているわけにはいかず、決死の覚悟で、外に食料など調達しに行かねばならない。
「バード・ボックス」の大きな見どころとして、極限状態かつ密室空間ないの人々のやりとりがあげられます(密室空間で恐怖が盛り立てられる映画「シャイニング」についての考察もありますのでそちらもどうぞ)。
バード・ボックスの「あれ」の正体を考察する
【考察】バード・ボックス「あれ」の正体は何なのか?
「バード・ボックス」に登場する、見たものを突発的な自殺にいたらせる「あれ」は何なのか?
結局、最後までその正体は何なのか、あかされません。
私は、「あれ」の正体は地球侵略を目論む宇宙人、あるいは宇宙人の兵器的な何かではないかと考察します。
その理由として、「あれ」は人類を絶滅させようという目的があるのではと考えたからです。
もし正体が幽霊系ならば、あそこまで無差別に、世界中の人類に仇なすとは考え難いですし、「バード・ボックス」のストーリー中に何かしらのヒントが隠されていてもいいはず。
また、伝染病などの類だとしても、見るという行為で感染するのも設定的におかしい。
見ただけで、人を死に至らしめる、特に突発的な自殺においこむというのは精神系な攻撃に分類されれるでしょう。そういう攻撃の技術を持った宇宙人こそが「あれ」の正体であるというのが私の考察です。
映画の描写でも「あれ」が複数、世界中にいたようなところから考えても宇宙人説はあながち間違いではないでしょう。
「あれ」の正体が宇宙人だとして、なぜそのような精神攻撃を仕掛けてきたかといえば、地球を綺麗な状態で手に入れたかったからではないかと考えます。爆撃などを使えば、自然などの生態系を傷つける。伝染病も様々なリスクが大きい。それよりは、地球侵略にとって邪魔な人間だけに自殺を促し、それ以外のものは綺麗にいただこうという算段ではないでしょうか。
なぜ見ると死ぬのか
「バード・ボックス」でも描かれていますが、「あれ」の影響を受けない人々も存在します。目の見えない人、精神を病んでいて「あれ」を見ても効果が現れない人など(別の効果はあらわれていたようですが)。
目が見えるというのは人類において圧倒的にマジョリティーに属します。仮に「あれ」の正体が宇宙人だとしたら、そういうマジョリティーさえ駆逐すれば、人類に敵なしと考え、「見る」という行為を介しての精神攻撃を仕掛けてきたのではないかと私は考察しました。
たとえば嗅覚や味覚、聴覚に対する攻撃もありえます。しかし、これらの感覚は一時的に塞いだとしても、行動にそれほど影響はでません。
仮に「あれ」の正体が宇宙人だとして、そういう攻撃をしているところを発見されると、人類から逆襲されかねません。
しかし、「見ると死ぬ」という視覚を用いた攻撃方法は、確実に「発見」されて逆襲されるリスクがなくなります。また、視覚は一時的に塞いだだけでも、行動に多大なる影響を及ぼします。部屋から出ることすらままなりません。
確実に、安全に地球を手に入れたい「あれ」側としては、視覚による精神攻撃は最適な方法だったのではないでしょうか。
(宇宙人説はあくまで私の考察です。最後まで正体がわからないもやもやを楽しむのもホラー映画の粋かもしれませんが)
「バード・ボックス」感想
「バード・ボックス」の感想
霊的なホラーというよりも、「エイリアン」に近い緊張感のただよう映画です。
ゾンビ映画でよくある設定に、まだ被害の及んでいないユートピア的な場所を目指すというのがあります。「バード・ボックス」でもそんな感じの進行ですが、問題は主人公たちが目隠しをしているということ。
「あれ」はどこにいるかわからないし、最後まで正体が何なのかもわからない。映画の描写だと、いたるところに存在している様子。
目隠しをして、周りが見えない状態で逃げ回る設定は、安心できるパートが少なく、常に不気味な緊張感を強いられます。また、子供連れというところも、不安感を増幅させています。
映像もダークな感じで、「バード・ボックス」の視覚を塞がれている雰囲気によく合っています。
森や川を逃げるシーンなど、どんよりとしているけれども美しく、いかにも都市部はすでにダメになってる感があって良かった。
ラストはハッピーエンドの類かな?ちょっとすっきりまとまりすぎていて味気ない感じもしましたが、まぁ良しでしょう(個人的にもう一捻り欲しかった)。
「バード・ボックス」は決して万人受けする映画とはいえません(Netflixって結構そういうのが多い)。
ただ、通常のホラーに飽きてきた人などには、目新しさがあって楽しめる映画に仕上がっています。私の様に「あれ」の正体を考察しながらお楽しみください。
見たら死ぬという共通点「邪眼は月輪に飛ぶ」
余談ですが、日本にも「バード・ボックス」と似た様な設定で書き上げられた傑作マンガがあります。
「うしおととら」や「からくりサーカス」など、数々の伝説的少年マンガを描いてきた藤田和日郎先生の「邪眼は月輪に飛ぶ」という作品。
こちらは「ミネルヴァ」という邪眼を持ったフクロウが日本にあらわれ、それに見られると、たとえテレビ越しなどであったとしても死に至るという設定。
「バード・ボックス」とは「見る」、「見られる」の違いはありますが、どちらも視線を題材にしており、それからいかに逃れるかに妙味があります。
「邪眼は月輪に飛ぶ」は1冊完結の作品ですが、ワクワクする展開と設定も練られており、さすが藤田和日郎先生とうならされるマンガ。おすすめです。
同様に、ちょっと不思議な感じのホラーではこちらの映画もおすすめです!→「パンズ・ラビリンス」の考察とペイルマンの怖さ