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サザエさんの初期アニメがブラックで怖い件

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私の好きな漫画にサザエさんがあります。

もちろん日曜日にやっているアニメも好きですが、なんといっても原作の漫画が好き。

かつて原作のサザエさんは朝日新聞に連載されていた四コマ漫画で、日本の戦後の歴史や復興、事件、生活に至るまで幅広く知ることができます。

時に人情味溢れ、また時にブラックユーモアを含んだ部分も。現在日曜日に放映されているアニメのサザエさんの優等生的で和やかな雰囲気とはまた違った魅力があります。

さて、つい先日アマゾンプライムにてサザエさんのアニメが配信され始めました。

といっても最近のものでなく、最初期のもの。放映が1969年とありますから50年も昔の作品!

さっそく観てみたのですが、これが想像を超えたブラックユーモア。現在のアニメ版サザエさんとは似て非なるテイスト。

どちらかといえば原作に近い、アマゾンプライムで配信され始めた最初期のアニメ版サザエさんについて記します。

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過激にしてブラック!初期サザエさんは原作に近いやばさ

現在のアニメ版サザエさんは優等生的

皆さんもご存知の通り、日曜夕方の顔のアニメ版サザエさん。

その内容は昭和の良き家庭や社会をテーマに、時にドタバタなんかを交えつつ基本ほっこりとした内容(参考:町内のクリスマス会に見る、普通の可笑し味「ちびまる子ちゃん」)。

特にフネさん、ワカメちゃん、タラちゃん、マスオさんなどは優等生的な立ち位置で振舞っています。

原作のサザエさんはアニメよりも過激

一方原作のサザエさんは社会を風刺した内容もさることながら、キャラクターたちの性格も過激な風味。

ワカメちゃんやタラちゃんはそこまで良い子という感じでもないですし、フネさんやマスオさんも鬱憤がたまっているだろう描写がちょいちょいあります。

アニメのような優等生で聖人君子的でない分、原作のサザエさんの方がリアルな人間味や社会を反映しているような感じもします(参考:「サザエさん」原作が面白い理由)。

アマゾンプライムで配信された最初期のサザエさん

さて、アマゾンプライムなどで配信され始めた最初期のサザエさん。1969年放映の50年前の作品。

今と同じように3話構成で第一回は「75点の天才!」、「押し売りよこんにちわ!!」、「お父さんはノイローゼ」の三本です。

タイトルから見ても初期のものは今のサザエさんとは違いますね。「押し売り」、「ノイローゼ」なんて単語はまずお目にかかりません。

アマゾンプライム会員ならば、アマゾンビデオから無料で観ることができます(プライム会員になるには月額費がかかります)。たしか「FOD(フジテレビオンデマンド)」でも配信されています。



デジタル処理されているようなので、アマゾンプライムで観るサザエさんはノイズなどなく綺麗な映像に仕上がっています。

現在と初期のアニメ版サザエさんの違い

先に現在と初期のアニメ版サザエさんの違いを挙げておきます。

一番の違いはサザエさんとタラちゃん以外の声優さんが現在とは違うということでしょう。

ついこの前まで担当されていた波平さん役の永井一郎さんやフネさん役の麻生美代子さんなども最初期のメンバーなのでこの辺はまだ馴染みがあるでしょう。

マスオさん、カツオ、ワカメちゃんなどは、私の小さい頃でも馴染みのない声優さんですね。ちなみにカツオの最初の声優さんはドラえもんで有名な大山のぶ代さんです。

サザエさん一家に関して、それ以外にさほどの違いはないですが、磯野家の間取りがやたら広々と感じられます。

マスオさん泥酔の訳を想像すると怖い!第1話「75点の天才!」

さて、初期サザエさんの第1話は「75点の天才!」という話。

カツオが良い点を取って浮かれるという話なのですが。。。ここで描かれる、磯野家の背景を想像すると妙に怖い話。

物語の始まりは、カツオくんが良い点(75点)とったテストを持って帰って来るところから。

良い点を取ったのが嬉しいのか、家の前で小躍りするカツオを見て、サザエさんが「気がふれた!」発言。この時点で、現代ではすでにアウトです。

その後、なんやかんやあって、磯野家はてんやわんやに。

フネさんが波平さんに送られたラブレターを発見し、ハサミを持って追っかけ回すシーンもあり。今のアニメでは温厚なフネさんだけに、これは怖い!初期アニメのフネさんは、かなり過激な一面があることがわかります。

記念すべき第1話で何よりもブラックでやばいと感じたシーンは、まだ日のあるうちからべろべろの泥酔状態で帰宅するマスオさん。

泥酔のマスオさん。サザエさん第1話「75点の天才!」より

顔は真っ赤っか、手には折り詰め。絵に描いたような昭和の泥酔シーン。いったい会社で何があったのでしょうか。嫌なことがあって酒に溺れたかったのでしょうか。原因を想像しだすと、磯野家の闇に触れてしまいそうで怖い。。。

たとえ夏だとしても、帰宅した時点でまだ6時前後と思われるような時間。どこでどれだけ酒を飲み、泥酔してマスオさんは帰ってきたのか。

ラブレターをもらうような色男の波平さん、ハサミ持っておいかける過激なフネさん、泥酔して帰って来るマスオさん。現代版サザエさんとはあまりに違うキャラクターが気になってストーリーが頭に入りませんでした。

障害についての謎発言!第2話「押し売りよこんにちわ!!」

すでに押し売りというワードが死語に違いですが、サザエさんの原作ではよく押し売りが出てきます。

「押し売りよこんにちわ!!」でも押し売りの団体が手を替え品を替え、磯野家を攻略しようという話。

一番最初の情けなさそうな押し売りが泣き落としでサザエさんに品物を買ってもらおうとします。その時の落とし文句が「長男が生まれついての右手が一本」というもの。

それに対して同情を示すサザエさん。そして「身体障害は政府の責任」というやばい発言。

いくらコンプライアンスなどがゆるい時代とはいえ、こんなワードが飛び出すとは。今では考えられないブラックさ。

こんなやばい発言を今のテレビで放映したら、確実にヤフーニュースのトップを飾り、翌週お詫びのメッセージが流れ、下手すりゃ番組終了にもなりかねません。

こういうブラックな発言ひとつを取っても、時代性が感じられます。

ブラックすぎる医療ギャグ!第3話「お父さんはノイローゼ」

波平さんが、自身がガンになったのではないかと思い込む「お父さんはノイローゼ」。

まず「ノイローゼ」というワード自体がすでに現在ではアウトな感じです。

そしていたるところで飛び出す、サザエさんアニメには似つかわしくないガン発言。

事もあろうに、家庭の医学書を参考にした結果、ガンだと思い込む始末(後々で見てみれば麻疹の症状だった)。

その時の波平さんのリアクションがこちら。

サザエさん「お父さんはノイローゼ」より

今のサザエさんからは想像できない取り乱しようですね。初期のサザエさんのアクションはアメリカのカートゥーンアニメ並みに派手です。

そして病院へ。医者(の助手?)の見立ては「子宮がん」。結局何事もなく終わるのですが、こちらも現在ではとても放映できないような不謹慎でブラックなネタです。

初期アニメは原作サザエさんの持つ怖さに近い

「押し売り」や「ノイローゼ」に出てくるちょっと怖めなネタは、アニメオリジナルというわけでなく、原作のサザエさんの四コマに実際あるネタが多いです。

現在放映されているアニメでも、原作の漫画サザエさんネタを元に構成されていますが、押し売りやガンをネタにしたものなどはまず出てきません。

現在のアニメ版は原作のサザエさんの持つ毒やブラック、怖い部分をうまくぬいて、面白い部分だけで構成している感じ。

一方で初期のアニメサザエさんは、原作の持つブラックな笑いを生かしつつ、アニメという動きのあるメディアで過激さを加えた感じ。

好き嫌いはかなり分かれるでしょう。30分観ただけでかなり疲れるぐらいの密度がありましたが、原作好きとしてはこれはこれでとんがっていて、面白かったです。

現在のアニメ版サザエさんが大好きで、なおかつ原作を知らない人は、アマゾンプライムで配信されている初期サザエさんを観たら、そのやばいブラックさと言い知れぬ怖さにかなりショックを受けるかもしれません。

ある意味「怖いもの見たさ」な要素も兼ね備えた初期のサザエさん。アマゾンプライム会員やFOD会員の人は一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか。

関連記事:「サザエさん」原作が面白い理由