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感想「ゲイ風俗のもちぎさん」知らない世界を漫画で垣間見る

感想「ゲイ風俗のもちぎさん」読書録

昨今になって発展してきたなと感じるものに、ウェブ漫画があります。

一昔前だと、同人誌的な内容が多かったように感じますが、今ではプロアマ問わず多くのクオリティーの高い作品がそろっています。

そうして、ウェブの場から人気が出て書籍化っていう流れも多いですね。

例えば「ウツぬけ」で有名な田中圭一先生の作品なども最近ではウェブ連載からの書籍化が多いですし、先日紹介した小山健先生の「生理ちゃん」なんかもそのパターンです(参考:【感想】「生理ちゃん」タイトルから想像つかない学びの漫画)。

今紹介したお二方はもともとプロの漫画家ですが、素人の方でウェブ連載から出版へという人も増えていますね。

本日おすすめしたいのはもちぎさん著の「ゲイ風俗のもちぎさん」。ウェブで連載されている、ご自身のゲイ風俗で働いた経験をもとにした漫画が書籍化されたものです。

ゲイ風俗という、多くの人にとっての未知の世界。その世界を垣間見つつも、どこか癒しの効果のある漫画です。

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感想「ゲイ風俗のもちぎさん」

もちぎさんとは

もちぎさんは2018年ごろからTwitter上で漫画を発表されているそうです。

ご自身の姿は奥歯のキャラクターみたいな感じで描かれています。頭のぽこぽこぽことした感じが可愛らしいキャラクター。そして一人称は「あたい」。

私もフォローさせていただいてますが、日々のつぶやきやちょっとしたイラストなんかにも笑いや自虐に愛情が入り混じる、人を楽しませようとするセンスが感じられます。

お歳は「ぎりぎり平成生まれ」とあるので30代前半くらいでしょう。しかし漫画から伝わってくる人生経験はとても30そこそこには見えない濃密っぷり。

ゲイ風俗での日常

ゲイ風俗のもちぎさん

もちぎさんの母親はいわゆる毒親といわれる方だったようです。高校時代、そこから飛び出して単身東京へ。そして辿り着いたゲイ風俗の世界。

ありのままの自分、セクシャリティーを認めてくれる環境。そして様々な生い立ちを持つ同僚やお客様との日々。

私は異性愛者であるし、ましてや普通の風俗も行ったことがないのでこういう世界があることすら衝撃でした。日本国では、建前上風俗では本番行為は禁止されていますが、ゲイ風俗の世界ではオッケーみたいです(何を持って本番行為と定義するのかにもよりますが)。

男の人が男の人を相手にする、ゲイ風俗の世界。結構ハードな内容の部分もありますが、そこはもちぎさんの可愛らしい絵柄ですんなり受け入れやすくなっています。

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私の勝手な想像なのですが、もっとこういう風俗業界に勤めている人は辛い思い出あふれているのかと思っていました。もちろん、人にもよるでしょうし、漫画で描かれていない部分で苦汁を舐めた経験もあったでしょう。

しかし、もちぎさんの漫画からは常に、愛情と思いやり、そしてサービス精神が感じられます。読者を、相手を楽しませようとする意気込みが。

「ゲイ風俗のもちぎさん」はもちぎさん自身の経験を綴った漫画であり、ゲイ風俗、そしてゲイの人たちの世界がどういうものか知ってもらうのが目的なのかもしれません。しかし、それ以上に読者の方に楽しんでもらいたいという、もちぎさんのおもてなしをも感じられました。

(最後のおまけ漫画では、ディープな人を満足させるど下ネタで締めくくっておりますし)

【感想】ゲイ風俗という知らない世界を知るためのメディア「漫画」

「ゲイ風俗のもちぎさん」は実体験をもとにして描かれている漫画ですから、ここにあることは事実なわけです。

しかし、多くの人はこの世界を知らないし、どんなものかを知らずに過ごしていくことでしょう。もしくはゲイ風俗というものがあると知れば興味本位を起こしたり、もしくは聞いただけで嫌悪を起こす人も。

もちぎさんの漫画は、そういうゲイ風俗を知らない人に「こういう世界がある」ということを知ってもらう入り口として、とても入りやすい。もともとウェブ連載ということで気軽に見ることもできるし、プロではない、独特のゆるい絵柄は割と受け入れやすい。

私と同じように、この漫画を読み始めた人は、最初はゲイ風俗というものの興味本位からだったでしょう。しかし、もちぎさんの漫画からゲイ風俗の世界、そしてゲイやLGBTの人々の想いや生活、楽しさも生きづらさも含めて少し見えてくる気がします。

もしこれが、まったく部外者のルポ漫画などでしたら、これほど面白い仕上がりにはならなかっただろうと思います。あくまで当事者だからこそ描ける世界。当事者だからこそ、酸いも甘いもかみしめつつ、それでもエンターテイメントとして面白い漫画に昇華できたのだという感想を持ちました。

また、漫画というメディアの選択も良かった。これが文章だけでしたら、途中で読むのを諦めたり、イメージが生々しくなってしまったかもしれません。風俗という世界の生々しさも、もちぎさんの絵という適度なオブラートにくるまれたおかげで、読者が受け取りやすい形になったのだと思います。

今のウェブ時代、知りたいことは大抵知ることができるし、見ることもできる。しかし、まだまだ知らないことは多いし「ゲイ風俗のもちぎさん」のように、当事者が発信してくれたからこそ垣間見えた世界もある。

ただの興味本意でもいいと思います。最初は。

ただ、この漫画を読んで、ゲイ風俗という世界があることを知り、そしてゲイの人、LGBTの人々がどう思っているのかということを少しでも理解すればば、どのようなセクシャリティの人に取ってもすみやすい世の中になるんじゃないかなとふと思いました。

読書録
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