スポンサーリンク

感想「全裸監督」あらすじと規格外の面白さについて語る!

絵画おすすめ映画

最近、定額ネット配信映像サービスでにわかに頭角を現しているNetflix。

その最大の特徴は、オリジナル作品のクオリティが高いところにあると思います。

映画であったり、ドラマであったり、ドキュメンタリーと作品ジャンルは多岐にわたっており、その多くが劇場公開レベルの作品(参考:【考察】「バード・ボックス」あれの正体は何なのか?)。

これまで、我々が楽しむNetflixオリジナル作品といえば海外作品ばかりでしたが、この度満を持して発表されたのが山田孝之主演の「全裸監督」。

Netflixで配信と同時に、各所で様々な話題に。私がTwitterでフォローしている方たちからも「面白い」と絶賛の嵐!

AV業界という、ある種アンダーグラウンドな業界が舞台のドラマですが、地上波ではできない濃密な作り込みと豪華な俳優陣。これは日本のドラマの新たな地平が開けたなというインパクトのある面白さでした。

Netflixオリジナルドラマ「全裸監督」のあらすじとともに、その規格外の面白さと感想について語っていきたいと思います。

(多少ネタバレあり)

スポンサーリンク

感想「全裸監督」Netflixだからできる規格外の面白さ!あらすじも

「全裸監督」のあらすじ

The Naked Director | Netflix Official Site
In 1980s Japan, one determined man turned every crushing setback into opportunity. His name was Toru Muranishi, and he revolutionized his industry.

「全裸監督」とはNetflixにおいて配信されている、日本発のドラマ。日本のアダルト産業黎明期において一時代を築いたAV監督村西とおる氏の伝記で本橋信宏著の「全裸監督」をベースに作られた作品です。村西氏を演じるのは、二枚目から三枚目まで幅の広い演技で定評のある山田孝之さん。今回も体当たり的な演技で、我々を魅了してくれます。

そんな「全裸監督」のあらすじ。

時は昭和。北海道で英語教材のセールスをする村西とおる。全然営業成績がふるわないなか、先輩営業マンの教えを受け、めきめきとセールストークの腕を上げていきます。そして営業成績トップの社員に。

そんな絶頂期の中で、会社の金が持ち逃げされ仕事を失うはめに。同時期に妻が浮気をして、一家離散。

打ちひしがれぶらぶらしている時期に、チンピラのトシと知り合い、その頃はやっていたビニ本(エロ本)に出会います。これは商機になるとビニ本販売に乗り出すことに。もちまえの営業能力から販路を広げつつ、自分でもビニ本制作策に乗り出すことに。しかし、それがいきすぎて裏本を作ってしまい、刑務所に入ることになります。

出所した村西とおる。しかし、彼はくじけません。今度は東京に進出し、新たなメディアとしてビデオ、AVに着手することにします。しかし、AV業界最大手のポセイドン企画は村西を目の敵にしており、村西の作品は世に出ることすら難しい状態に。

『全裸監督』予告編 – Netflix

そんな中、厳格な家庭で育ちながら、内に熱い性欲をひめる女子大生の佐原恵美が村西をたずねます。そして佐原はおのれの欲望を村西に打ち明けて、黒木香名義でAV女優になることに。。。

以上がおおまかなあらすじ。AV産業黎明期の日本において、伝説を作り上げた村西とおると黒木香を軸に、欲望と利権がうずまく骨太で面白いドラマに仕上がっています。

ちなみに、村西とおる監督ご本人は、同じNetflixでも配信されているロンブー田村淳さんの「地上波ではダメ」シーズン2-7で見ることができますよ!

Atsushi Tamura no Chijoha deha Dame! Zettai! | Netflix
Drugs, adultery, social strife -- nothing is too hot for the fearless button-pusher Atsushi Tamura to handle in this edgy variety program.
スポンサーリンク

「全裸監督」山田孝之、森田望智の演技

『全裸監督』予告編 2 – Netflix

ここから感想をば書いていきたいと思います。まず伝えたいのは「全裸監督」にでている俳優、女優陣がとにかく素晴らしいということ。特にいいのが村西とおる役の山田孝之と黒木香役の森田望智さん。

山田孝之さんといえば様々なドラマやCMでひっぱりだこの人気俳優。それなのに、ブリーフ一丁でかけずりまわったり、全裸でAV撮影シーンにのぞんだりと、とにかく体当たり的な演技がぎらっぎらに光っています。山田さんの若干濃い感じもこの作品にぴったり。エロの世界に革命を起こそう、今までにないものを作ろうとする村西監督のギラギラした熱意や意欲が山田さんの演技にドンピシャではまっていました。

そして黒木香役の女優、森田望智さん。森田望智さんは「全裸監督」で初めて知りましたが、なんというすさまじい演技をする人か。ここ最近、これほどまでに体を張った演技をする女優さんは見たことがありません。

『全裸監督』出演者へのクイックQ&A|~森田望智編~

時にヘアーが映り込むような全裸のシーンや濃厚なベッドシーン。厳格な家庭で育ったお嬢様という演技から、内に秘めたる性欲とエロスをカメラの前でさらけ出す演技、そして当時のメディアが求めた黒木香というキャラクターの演技までどれをとっても迫真!

派手めな顔ではなく、どちらかというと大人し目な顔立ちをされていますが、それがあってこそ濃密なベッドシーンでかえってエロさが強調されているような気がします。私などはこの森田望智さんを見ていて、第二の壇蜜的な要素すら感じました。この女優さんは今後テレビとかでも活躍しそう!

『全裸監督』出演者へのクイックQ&A|~玉山鉄二編~

今紹介した人々以外にも、いわゆる村西とおる監督の敵側の人間も素晴らしい。

特に歌舞伎町のヤクザを演じる國村隼さんの淡々とした、しかし実は冷徹な凶悪の演技は見ていてぞっとします。國村さんの役が声を荒げたりするようなヤクザではなく、一見人当たりはよさそうだが、実はすんごい悪いって感じがじわじわ感じられて、いつか爆発するんじゃないかって不気味な演技。

もう一人、村西をつけねらう悪徳警察官役のリリーフランキーさんも最高。この人、こういうドライでニヒルな悪党役をさせると天下一品!國村さんとリリーフランンキーさんは裏でつながって、悪だくみしているシーンなどは真に迫るものがあります。

ちなみに、さすが全世界配信のNetflixだなと思った点に、レンタルビデオ店の店主役でピエール瀧さんがさらっと出ているところ(いい演技してます)。日本ではあーだこーだと、作品公開が延期やお蔵入りになったこともありましたが、全世界配信の「全裸監督」ではそんなの関係ねーって感じが良い!シャブが出てくるシーンのすぐ後にピエール瀧さんが出てきた時にはちょっとドキッとしましたが(笑)。

山田孝之さん、リリーフランキーさん、ピエール瀧さんと「凶悪」の組み合わせですね。

ちなみに、英語教材会社の上司役で桂雀々師匠がでていたのが個人的にヒットでした。普段聞くことのない、雀々師匠の違和感たっぷりの標準語が良いです(笑)

80年代の見事な作り込み

あらすじでも書いたように、「全裸監督」の舞台となっているのは昭和後期や80年代。高度成長期で、日本が浮かれ始めている時期です。

私がデザイナーだからこその感想かもしれませんが、ドラマのセットの作り込みが素晴らしい。

特に歌舞伎町にある看板類やそのキャッチコピーなど、80年代の雰囲気が伝わって来る(「来夢来人」という店名がぴったりあう世界)。

私的に、描かれている書体や色合い、そしてエロで猥雑ながらも味のある歓楽街のコピーにはたまらないものがありました。

こういうセットや、演者さんの髪型、そして言葉遣い(平気で「がびーん」や「バイビー」が使われている)など細かいところまで、手を抜かずに作りこまれているところも「全裸監督」の見所です。

私などは逆に現代っぽいロゴや書体、コピーや商品などがないかじっくり探したほど(笑)。

地上波ではできない規格外のエロさ

作品の核となる要素ですが、このエロさは絶対に地上波では無理。この要素だけでも、今までの日本ドラマにはない規格外なエロさです。ただ、私の感想としてはここまでやりきらないと、面白さは半減していただろうと思います。

正直、「全裸監督」が地上波向けの作品として作られていたのならばここまで面白い作品にはならなかったでしょう。現代日本の地上波ではなかなか流せない、全裸やベッドシーンなどエロの要素がこれでもかと出てきます。しかし、黎明期のAV業界を描くという点ではこれは避けては通れない。

「全裸監督」では、このエロもただ裸を出せばいいというような生温いものとして取り扱われていないように感じます。特に黒木香役の森田望智さんは全力で感情をほとばしているようなベッドシーンを熱演されています。全裸でベッドシーン。それはたしかにエロいシーンなのかもしれません。しかし、生半可なものではなく、このパッションを感じる演技があるからこそ、「全裸監督」がただのエロを売りにしたドラマではなく、見た人の心をつかむ面白い作品に仕上がっているのだと思います

これが地上波用であったりしたならば、カット割りなども含めて中途半端な作品に成り下がったであろうことは容易に想像できます。地上波では「ここまでしかできない」という規格が出来上がっている感じ。そんな枠内を飛び越える意味でも「全裸監督」という作品をNetflixという舞台で配信したのは成功だったという感想をもちました。

スポンサーリンク

感想「全裸監督」は日本のドラマを変える規格外の面白さ

「全裸監督」を観た全体の感想としては、とにかく面白いの一言につきます。最初はTwitterの反応を見てなんとなく観始めた。しかし、その規格外の面白さに止まらなくなり、一気に観てしまいました。

「全裸監督」という作品は時にシリアスに、時にコメディーチックに、そして時にエロと様々なエンターテイメント性がからまりあった作品。

思えば、かつて日本で放映されていたドラマや映画ってこういう複合的な要素でなりたっていました。しかし地上波、いや映画でおいても色々な縛りがでてきてしまい、なんとなくそれらの要素をとりいれたぬるい仕上がりになるものが多い気がします。よくあるパターン、酔っ払う朝起きると同じベットで寝ている、女優さんシーツを胸に引き寄せ「キャッ!」的なのが、現代日本の地上波で流せるお色気の限界かと。

しかし「全裸監督」においてはどれもが全力投球。シリアスな場面はしっかりシリアス(特にラスト二話などはかなりエグいシーンもあるし、辛いシーンも)、笑えるところはしっかり笑わせてくるし(山田孝之さんの尻まるだしとか)、エロもちらっと見せるような生温いものじゃない。全部見せる。それもNetflixという舞台があるからこその、妙なブレーキに忖度することのない、全力の作品に仕上がっているのです。そして日本国内だけでなく、世界の人を相手に満足させられる作品を作るという気概も。

下記のYouTube映像でも、演者さんたちがエロさや生々しさがあるけれども、それでも観てほしいと語っています。

『全裸監督』出演者より諸注意がございます。 feat. 山田孝之 満島真之介 玉山鉄二 森田望智

このドラマは村西とおる監督の人生を描いた本橋信宏さん著の「全裸監督」がベースとなっています。しかし、すべてが伝記の通りでなく、あくまでおおまかなベースとして取り入れられている感じ。実際に起こったことではなく、あくまで創作物として楽しんでいただければと。

Netflixの「全裸監督」はきっちりとドラマティックになるよう脚本も練られているし、ドラマとしてシリアスさが映えるようなダークな要素も多分に盛り込まれています。しかし、一部で批判的な感想があるのも事実です。実際に観て、何を感じるかが大事かと。

Netflixということもあり、加入しないと観ることはできませんが機会があれば是非観てもらいたいドラマ。あらすじなどでは伝えきれない規格外の面白さを体感して欲しいです。日本のドラマ作品が世界に通用するにはどのぐらいのクオリティーが必要なのかをも考えさせられるドラマでした。

「全裸監督」シーズン2決定!