本日紹介するのは「生理ちゃん」という漫画。タイトルだけ聞くと「ギョッ!」っとする人もいるのでは?
表紙をみると、どこかオバQ(とドロンパ?)を彷彿とさせるようなキャラクター。いったいこれはどういう漫画なのだ?と思わざるをえない。
しかし、実際に読んでみると実にいい漫画なのです。
今回はギョッとするタイトルながら、深い学びと感動のある漫画「生理ちゃん」を感想と共にご紹介。
【感想】漫画「生理ちゃん」タイトルに惑わされるなかれ!想像以上の感動と学び!
小山健さんの漫画「生理ちゃん」とは?
漫画家の小山健さんの作品「生理ちゃん」。第23回手塚治虫文化賞受賞作でもあります(タイトルからじゃ想像つかないでしょ?)。
ウェブで月一連載されている作品で、生理というものを擬人化した漫画。カテゴリーでいうと、ギャグと教育とほんわかが入り混じった感じ。
月に一回、様々な女性の元へ訪れる生理ちゃん。腹を思いっきり殴って腹痛を与え、血液を注射でぬきとり、クロロホルムで眠くさせるなど、生理からくる様々な症状を擬人化した存在となっています。
そんな生理ちゃんと女性(女の子)との関わりを軸に展開される一話完結型の漫画。
小山健さんのさらっとした絵柄はシンプルで可愛く、私的にとても好みです。こんな絵がかけるようになりたい!
生理ちゃんの他にも「性欲くん」や「童貞くん」などのキャラクターもおり、男女の違いや女性同士の違いなど、それらがうまく交わることで多彩なストーリーが展開されていきます。
タイトルからは想像つかない、意外な感動と学び
タイトルだけ見ると、色物的な漫画にも思えるかもしれませんが、さにあらず。
かわいい絵柄とギャグテイストの中に、意外な感動と学びが多数隠れています。
たとえば四話目。プリキュア風なヒーローの女の子二人組の話。二人は先パイ、後輩同士。
後輩の女の子は生理痛がひどく、今日は戦えないと訴えますが先パイの女の子は「生理ぐらいで何言ってるの!」と相手にしてくれません。
二人それぞれに生理ちゃんがついているのですが、先パイの女の子の方の生理ちゃんはとても小さく、視覚的にそれほど生理が辛くないことが表現されています。
私は男性なので直接的な感覚はわかりませんが、生理痛というものは女性それぞれによってもその度合いが違うそう。だから、女性同士の間でも「生理痛ぐらいで!」という考えの人もいるそうです。
この作品では、最終的に生理ちゃんがうまいこと間を取り持ってくれて仲直り(ラストには千パイに強烈な生理痛を体験させるというオチがつきますが)。
数ページほどのシンプルな展開の中に、個々人の体質や辛さの違いなどが見事に描かれています。
他にも男女間の心理や生理機能の差などを描いたものなど、漫画の中に不思議な感動と学びがつめこまれていました。
【感想】漫画というメディアで子供達に生理について学んでもらいたい
男女間の問題や不倫を扱ったネタもあり、ちょっと大人な内容にはなっていますが、私はこの漫画を子供たちにも読んでもらいたいなという感想を持ちました。
特に、こういう生理のことって、機能的な面では学校の性教育とかでは習いますが、その実態や実感などはなかなかわかりません。また、生々しく伝えようとすると、避けられてしまう可能性だってあるでしょう。
この「生理ちゃん」ではそういった実態や実感などを、表現としては生々しくなくさらりと描いていますが、内容的にとてもうまく伝えてくれていると思います。
ややデフォルメの効いた擬人化によって、腹痛、貧血、眠気などがわかりやすく描かれていますし、漫画を通じて生理というものがどういうものなのかが自然とわかってくるところがいい。
生理は何のためにあり、それが来るということはどういうことなのか。来ないということはどういうことなのかなど、普段意識しない部分でハッとさせられることが多々ありました。
また、男女での肉体的な機能の違い、女性ごとに感じるものの違いなどもうまく描かれているので、「生理ちゃん」を読むことで生理への理解が深まるであろうという感想も持ちました。
性教育というと大げさに聞こえるかもしれませんが、下手な学校の授業よりは、子供達にとって学びの多いものが詰まっていると感じます。
「生理ちゃん」映画化決定!主演は二階堂ふみさん
この「生理ちゃん」は映画化も決定しています。主演は、異例のヒットを飛ばした「翔んで埼玉」でも主演をつとめた二階堂ふみさん。
うーん、二階堂ふみさんというチョイスがいいですね!綺麗さと強さを兼ね備えた感じのする女優さん。最近色々漫画原作の映画にも出演していますしナイスな配役かと(参考:「翔んで埼玉」爆笑名言な埼玉ディスりを楽しむ!)。
リンク先の画像を見る限り、生理ちゃんはCGではなく着ぐるみなのでしょうか?基本無表情だし、ある程度動きに自由度さえあれば着ぐるみで十分かと。
この漫画のコミカルさ、ほっかりする感動や魅力をうまいこと映画に表現されることを期待します!
追記:第23回手塚治虫文化賞受賞受賞おめでとうございます!
このブログを書いてしばらく経った頃、「生理ちゃん」が第23回手塚治虫文化賞の短編賞を受賞しました。
すごく学びが多いし、面白く優れた漫画ですので、自分のお気に入りの漫画がこのような賞を受賞して嬉しいです。
ただ面白いというだけでなく、文化賞というところもいいですね。タイトルからは想像できない、そういう文化に影響のある要素を多分に含んだ漫画でもあります。
手塚治虫文化賞を受賞した影響なのか、最近メディアでもよく取り上げられているのを目にしますね。この追記を書いている今日などは、NHKのあさイチにも取り上げられていました。
私が「生理ちゃん」を知った時には、ここまで浸透するとは思っていませんでしたが、多くの人に知ってもらえる機会が増えて嬉しい限りです。
「生理ちゃん」は単純に漫画としても面白い
色々と教育や学び、感動の点で「生理ちゃん」の魅力や良さを描いてきましたが、単純に漫画としてもすごく面白いです。
色々パロディーなどが混じっており、それのストーリーとの交わらせ方もうまい!また、無表情ながら情に厚い生理ちゃんの行動もなんだかグッとくるものがあります。
童貞君はただただ可愛らしいキャラクターだし、性欲君のぶつぶつつぶやいている内容なども、思春期まっさかりの学生みたいな感じがいい。(私の女友達は男女が入れ替わる回の性欲君をみて「男も大変なんですね」って言ってました(笑))。たぶん読んだ人の体の状態にあわせて、それぞれがそれぞれの感想や学びを得られると思います。
学びだけでなく、単純に漫画として読んだだけでも、うまくできた漫画だなと思います。
もしかしたら、タイトルに気後れして買うのに気を引けてしまうかもしれません(本屋で見たことあって気になってたけど、手が出せなかった人も?)。
しかし、一度読んでみると、そのよくできた内容にぐんぐん引き込まれていくでしょう。
2019年の7月には2巻目もでるようなので、それも合わせて楽しみです!