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「不思議の国の少女たち」不思議の国から戻ってきた少女のその後は?

ファンタジーの先「不思議の国の少女たち」読書録

最近読んだ本の話をば。

ネットニュースで見つけた本「不思議の国の少女たち」。

装丁は児童文学風、可愛らしく小〜中学生向けかなという印象。

しかし、どうも描かれている内容が今までのファンタジーとちょっと毛色の違うもののよう。

普段この手のファンタジーは手に取らないのですが、気になって見たので読んでみることに。

これがなかなか不思議な世界観だったので、ご紹介したいと思います。

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不思議の国から帰ってきた少女たちは現実、日常に馴染めるのか?

「不思議の国の少女たち」あらすじ

「不思議の国の少女たち」の作者はショーニン・マグワイアさん。アメリカの作家さんです。

ショーニン・マグワイアさんは本書でヒューゴ賞、ネビュラ賞、ローカス賞を受賞したほか、世界幻想文学大賞にもノミネートされる気鋭の作家さん。

さて、この「不思議の国の少女たち」のあらすじ。

主人公のナンシー・ウィットマンはエリノア・ウィストが責任者を務める学校に預けられます。

というのも、ある時ナンシーは行方不明になり、帰ってきてから変なことばかり言う。ナンシーの両親は療養の意味でもエリノアの学校に預けたのでした。

実はナンシーは、行方不明となっているあいだ、死者の殿堂という世界に迷い込み、そこで暮らしていたのです。しかし、ふとしたことで現実の世界に戻ってきてしまいます。

ナンシーはもう一度死者の国に戻りたいと願いますが、そこに行くための扉が見つけることができません。もちろん両親は死者の国のことなどナンシーの妄想であると思っています。

実は、ナンシーが預けられたエリノアの学校は、そういう不思議な国に迷い込み、そして現実に戻ってきた少女たち(少しだけ男の子もいる)が集められた施設でした(表向きはセラピー施設かなにかだと思われている)。責任者のエリノアも、そういう不思議の国に迷い込んだ経験をもちます。

死者の国から帰ってきたナンシーのほかに、お菓子の国行っていたスミ、妖精界へ行っていた少年ケイド、ヴァンパイアの世界へ行っていたジャックとジルの双子の姉妹、蜘蛛の巣国へ行っていたロリエル、骸骨の世界へ行っていた少年クリストファーなど、様々な不思議の国へ迷い込み帰ってきた少女たちがそこで暮らしています。

彼女たちに共通するのは、また不思議の国へ帰りたいと願っていること。それはとても難しいことで、エリノアの学校はそういう思いに諦めをつけさせたりと心の持ちようをコントロールするための学校でした。

そんな少女たちが暮らす学校で、不気味な殺人事件が起こります。

一癖も二癖もある少女たちの中で起こった殺人事件。少女たちはそれを解明しようと試みますが。。。

一見少年少女文学風だが、ヘビーな展開も

「不思議の国の少女たち」は三部作構成の1冊目。ですが、本書でも話は完結しているので、これだけ読んでも大丈夫。

表紙や設定など一見すると少年少女文学風ではありますが、展開や出てくるワードなどなかなかヘビーな部分もあります。

これもアメリカの作品だからかなとも思いますが、それにしてもアメリカのティーンエイジャーたちはすんなり受け入れられるのでしょうか。

大人向けの定義は何かというのはさておき、一応少年少女向けの内容ですが大人でも十分楽しめるでしょう。

不思議の国から戻ってきた後の日常に溶け込める?

「不思議の国の少女たち」のあらすじを読んで、「確かに!」と唸らされました。

不思議の国のアリスにしたって、最終的には現実世界に戻り、日常を生きることになりますがそこは描かれていません。

もし現実とは懸け離れた、あまりにファンタジックで夢のある世界に触れてしまった時、はたして日常の生活にすんなり馴染むことはできるのでしょうか。この本に出てくる少女たちは思議の国の中毒になっている感じがしています。

もちろん、不思議の国世界よりも、現実の世界に早く戻ってきたいと思い、それが叶って安心した少女たちもいるでしょう。本書にもそういう少女たち向けの学校の存在も出てきました。

しかし、ナンシーの通う学校は向こうの世界に戻りたい、住み続けたいと思う少女たちばかりが集められた学校です。

不思議の国で過ごした夢のような時間。そういう強烈でファンタジックなものに触れた時、この現実を退屈と感じやしないかとも考えました。

(少女たちは、自分たちが向こうで過ごした体験を両親などに妄想扱いされ、そういう周囲の理解を得られない部分でもこの現実世界に苦しみを感じています)

もちろん現実にはそんな不思議な世界はないし、こんな体験をした少女もいないでしょうが、思考実験として「不思議の国の少女たち」の設定は面白いなという感想を抱きました。

翻訳なので若干読みづらい部分も

設定も面白いですし、展開も興味深いのですが、若干文章が読みづらかったです。

これは元がアメリカの小説なので読みづらいのか、翻訳がうまくいかなくて読みづらいのかわかりませんが、私にとってすらすら読める文体ではなかったのが残念。

ですが、内容が難しいというわけではないので、じっくりと取り組めば大丈夫かと思います。

「不思議の国の少女たち」を是非ティム・バートンに映画化して欲しい

ハロウィン

「不思議の国の少女たち」のように、不思議な体験をした子供達が学校に集められるという設定を読んで、どことなくティム・バートン監督の映画「ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち」を思い出しました。

「ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち」も不思議な能力を持つ子供達がミス・ペレグリンの施設に集められるという設定。

「XMEN」のミュータントの学校も似たところがありますが、ファンタジックな感じではミス・ペレグリンの方が近いかなと。

もし「不思議の国の少女たち」が実写映画化されるなら是非ティム・バートンにやって欲しいと思いました。おそらく、本書にでてくる不思議でちょっと影のある少女たちを描かせたらティム・バートンは世界一。

本書の展開にもちょっとグロい部分やゴスっぽい部分も出てくるので、そういう意味でもティム・バートンの世界観に合っているかと。

ティム・バートンはすでに「アリスインワンダーランド」や「ミス・ペレグリン」と不思議な少女たちが出てくる作品の実績もあるので、是非「不思議の国の少女たち」の実写化を期待したいものです。

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