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【感想】「虚実妖怪百物語」あの小説家、漫画家が実名で夢の共演

京極夏彦の傑作!「虚実妖怪百物語序破急」 読書録

2018年年末に購入し、2019年の年始にかけて読んだ本があります。

京極夏彦先生の「虚実妖怪百物語序/破/急」。

京極夏彦先生といえば分厚い本でも有名ですが、これが飛び抜けて分厚い!序破急と三冊分かれているのを一つにしたものですが、圧巻の1300ページ越え。

重量もかなりあり、読んでいると腕がだるくなるぐらいですが、これがすこぶる面白い!新年からこんなに面白い作品を楽しめるとは!

長いページ数ものなんのその。読むのに時間はかかりますが、長さを全然感じさせない面白さ。

妖怪好き、読書好きには胸熱な展開も多数な「虚実妖怪百物語」の面白みや感想を記したいと思います。

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夢の共演!妖怪好きにおすすめな京極夏彦の「虚実妖怪百物語」

京極夏彦先生といえば分厚い本で有名

怪奇ミステリーのジャンルで有名な京極夏彦先生。

その作品の内容もさることながら、一作品の長さでも有名です。

よく京極夏彦作品は枕になるだとか、鈍器になるだとか、読み切れないだとか聞きますが、「虚実妖怪百物語序/破/急」もべらぼうに分厚い。

この「虚実妖怪百物語」は序破急と三冊わかれても出版されているのですが、私が買ったのは一冊にまとまったもの(まとまったやつのほうが数百円安い)。

1300ページ以上にもなる分厚い作品。普通の文庫なら4〜5冊分ぐらいのボリュームです。

京極夏彦の本は分厚い!

京極、荒俣、水木しげる夢の共演!これは妖怪界のアベンジャーズだ!

【荒俣宏のファンタジー】ロングインタビュー (オデッサの階段)

この「虚実妖怪百物語」の魅力はなんといっても実在の小説家や編集者、研究者が実名で登場するところにあるでしょう。

京極夏彦先生はもちろん、帝都物語で有名な荒俣宏先生、そしてゲゲゲの鬼太郎でおなじみ水木しげる大先生まで登場されます!

もう、この時点で胸熱確定、夢の共演です。水木しげる先生の漫画の中でナビゲーターとして荒俣先生が出てくることはちょいちょいありますが、こういう物語に組み込まれているのはなかなかない。この日本妖怪界を代表するお三方が揃い踏みで物語が展開されるとは!私はあらすじでこの三人が出ると知った瞬間に購入を決めました。

読み進めると、このお三方以外にもみなさんご存知の有名ホラー小説家、怪奇漫画家なども多数実名で登場されます。

こういう妖怪やホラー業界で有名な人々が「虚実妖怪百物語」という物語で揃い踏みし展開していく。

京極夏彦先生だからできる、夢の共演!まさに妖怪界、ホラー界のアベンジャーズ、スーパーロボット大戦的な作品だと言いたいです!

有名妖怪も多数出演

実名の小説家や漫画家さんが多数夢の共演をはたしているだけでも胸熱ですが、有名な妖怪がいろいろ出てくるのもたまりません。

わたしは鬼太郎でいうと第三シーズン世代(夢子ちゃんがでてくるやつ)。小さい頃から妖怪に親しんでおり、大人になっても水木先生作品を読んでいるのである程度妖怪の姿形、名前は覚えております。

そんな妖怪たちも「虚実妖怪百物語」では多数登場。有名どころ、マニアックなところ(「しょうけら」はマニアック?)、海外のもの、割と最近のものまであふれんばかりの詰め込みよう。

様々な妖怪が出てくるのも嬉しいですし、それを知っている自分がなんだか誇らしくさえあります(今までの妖怪、ホラー小説で知識を蓄えてきたのはすべて「虚実妖怪百物語」を読む為だったのかと!)。

むちゃくちゃ面白い!「虚実妖怪百物語」の感想

「虚実妖怪百物語」はむちゃくちゃ面白いが読み手を選ぶ

私にとって「虚実妖怪百物語」はむちゃくちゃ面白い小説でした。登場人物や妖怪はもちろんの事、展開も好きなタイプ。

表紙こそおどろおどろしくあれ、割とライトな感じで展開していきます。その面白さに、相当な分厚さながら飽きることなく一気に読破。

一方で「虚実妖怪百物語」は読み手を選ぶ小説であるなという感想を持ちました。

この面白さも、少なくとも京極夏彦先生、荒俣宏先生、水木しげる先生ご本人を知っていないとわからないし、妖怪も全く知らないのであればイメージできないし難しい部分も。実際の編集者などが実名ででてきますが、存じないのでイメージしづらい部分もありました。

また、マニアックな映画、妖怪、漫画、特撮など小ネタがあちこちにちりばめられているので、それまでの読書歴やマニアック度が問われる作品でもあります。

小説家や漫画家さんが実名で出てきますが、その人たちの作品を知っていた方が、なぜこの本に出演しているのか(基本的に妖怪、ホラーものを書いている人ばかり)もなんとなくわかって面白いかと思います。

(読み手を選ぶ小説であるという感想も持ちましたので、少しでも「虚実妖怪百物語」を楽しむ為に、読んでおいた方がいいなと思った本や映画、漫画を後述させていただきます)

アクションよりもトークの面白さがメイン

「虚実妖怪百物語」は妖怪などが出てきますが、基本アクションシーンよりもトークの面白さがメインだなという感想も。

京極夏彦先生の知り合いの方ばかりのようなので、そのキャラクターの描写が細かい。これでもかというくらい人と人との、わりとどうでもいいやりとりが続きます(それも面白いのですが)。

読んでいて何かに似ているなぁと思ったのが夏目漱石の「我輩は猫である」。あの作品もこういう特に関係のないようなやりとりが延々と続いて、それが面白かったりしました。

後半に出てくる荒俣宏先生の大演説のシーンなど、動きこそないですがめちゃくちゃぐっとくるものがあります。

「虚実妖怪百物語」でもそういうトークなどのやりとりの中で、いろいろ物語につながってきそうなものやマニアックな面白いネタが含まれているので見過ごせません。

ちなみに、マニアックなやりとりの中で私的にものすごく笑ったシーン

中央公論社の名倉宏美は、何とスネコスリを拾った。拾って、そのまま家で飼っているという。

前後関係がわからないとなんじゃこりゃですが、ストーリーの展開と、妖怪スネコスリの可愛さがわかれば、ものすごくハマるシーンです。

日本ホラー界のスター的魔人「帝都物語」加藤保憲登場

これは本の説明にも書いてあるので記しますが、荒俣宏先生の代表作「帝都物語」の加藤保憲の影が初っ端からちらほらと。

「帝都物語」の映画を見たことがある人ならば、あの軍服をまとった加藤保憲の強烈なキャラクターが忘れられないでしょう(演じたのは嶋田久作さん)。

京極、荒俣、水木大先生のお三方のみならず、魔人加藤保憲まで登場とはなんという贅沢さ!むしろこのメンツに対する悪役は加藤以外に誰がいるといった感じ。

むしろ加藤保憲が出た時点で、一刻も早く「虚実妖怪百物語」を実写化してほしいという思いがむくむく湧いてきました。

「虚実妖怪百物語」を実写化するとしたら配役は?監督は?

読み終わってすぐに、この「虚実妖怪百物語」をビジュアルで観たい!という欲求が湧きました。実写化映画化して欲しい!

もちろん、こういう小説原作の映画はたいてい原作の方が面白かったりするのですが、それでもどうなるのか観て観たい!そうなった場合に監督や配役は誰だろうという妄想も。

「虚実妖怪百物語」、人物の細かいやりとりが割と面白いところなので、エヴァやシン・ゴジラの庵野秀明さん、あるいは勇者ヨシヒコシリーズや銀魂の福田雄一さんのどちらかが監督がいいなぁと。

配役はなかなか思い浮かびませんね。もちろんご本人たちが出ていれば一番面白いのですが、いかんせん演技をしなくてはいけないので。

京極夏彦先生は誰だろう。結構今のジュリー(沢田研二)が似ているけれども、歳がなぁ。吉田鋼太郎さんなどいかがでしょう。

荒俣先生などは岸部一徳さんも面白いかも。体格は違いますが、絶妙な塩梅の演技をしてくれそう。

水木しげる大先生は案外ビートたけしさんなんかがハマるような。

(そして魔人加藤保憲はもちろん嶋田久作さんでお願いします!※小説内でもちらっと嶋田久作さんが登場します)

実在人物以外にも権利的に大丈夫なのかと思うぐらいにジャンルを超えた様々なキャラクターが夢の共演を果たしているのですが、その辺もレディ・プレイヤー1のこともあるので、なんとかクリアしてもらいたいもの。

ちなみに漫画化するならば、「ヘルシング」や「ドリフターズ」で有名な平野耕太さんを希望。そのぐらいの熱量が「虚実妖怪百物語」にはあります。

「虚実妖怪百物語」を読む前に見ておいた方がいい作品5選

「虚実妖怪百物語」は事前にある程度知識があった方がいい

「虚実妖怪百物語」は様々な妖怪、小説家、漫画家、研究者などがわんさか出てきます。

もちろん知らなくてもある程度は楽しめるのでしょうが、知っておいたほうが数十倍この作品を楽しめるでしょう。

私が「虚実妖怪百物語」を読んだ上で、あらかじめ見ておいた方が楽しめると思う作品をピックアップしました。

おすすめ1:映画版「帝都物語」

原作は荒俣宏先生。日本怪奇映画の至宝ともいえる作品です。

魔人加藤保憲を始め、「帝都物語」に出てくるキャラクターなどが結構います。しかもわりと重要なところで。

「虚実妖怪百物語」内でも何回も映画版「帝都物語」に言及がありますので、あらかじめ見ておくのをおすすめします。

小説もいいですが、出てくるキャラクターなどのビジュアルを想像して欲しいので、映画版「帝都物語」がいいでしょう。

おすすめ2:「私はゲゲゲ」

水木しげる先生の自伝的漫画。「虚実妖怪百物語」に出てくる水木しげる先生の喋り口調なんかは、あらかじめ水木作品を読んでおいた方が楽しめると思います。

水木作品は数多くありますが、その中でも水木しげる大先生ご自身のことがまとまっているの「私はゲゲゲ」をおすすめします。

おすすめ3:「豆腐小僧双六道中ふりだし」

京極夏彦先生の作品。京極先生が妖怪というものに対してどういう見方をしているのかがよく分かる小説。

「虚実妖怪百物語」でも基本的なスタンスは変わらないので、豆腐小僧を読んでおいた方がより深くわかるかと思います(そこそこ分厚い本ですが)。

ちなみに「虚実妖怪百物語」でもちらっと豆腐小僧がでてくるので、その点でもおすすめ。

おすすめ4:「図解 クトゥルフ神話」

この本でなくともいいのですが、多少なりともクトゥルフ神話というものがどういうもので、どういう成り立ちなのかを知っておいた方がより楽しめます。

逆にクトゥルフ神話をしらないと面白さの置いてきぼりを喰らう部分もあると感じたので、少しは知っておいた方がいいなと。

ネットなどにもクトゥルフ神話に関しての解説などが数多くあるのでそちらも参考にどうぞ。

おすすめ5:「鳥山石燕 画図百鬼夜行全画集」

水木作品をはじめ、現在の妖怪のビジュアルの多くはこの鳥山石燕の図絵が参考にされています。

「虚実妖怪百物語」でももちろん鳥山石燕についての言及があるし、出てくる妖怪のビジュアルなどを知っておくにもおすすめな本。

私も鳥山石燕の本を持っていますが、妖怪好きなら一度は通って欲しい道。江戸時代の怪奇へのイメージがたくさん載っており、見ているだけでも楽しめます。

さらなる妖怪ブームのきっかけになって欲しい

数年前から妖怪ウォッチがブームです。映画をはじめ、まだまだ人気は健在。

また、日曜の朝からゲゲゲの鬼太郎がはじまり、確実に小さな世代を始め妖怪ブームが巻き起こっている感じ。

そんな追い風を受けて「虚実妖怪百物語」をきっかけに是非とも全世代的な妖怪ブームが起こって欲しいもの。

妖怪について夢中になるって、単純に面白いじゃないですか。目には見えない、いるのかいないのかわからない、でもそんな存在を真剣に楽しむ。暮らしの余裕。

少しでも妖怪に興味を持った人は、めちゃくちゃ分厚いですが、「虚実妖怪百物語」チャレンジしてもらいたいです!

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