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南方熊楠の生涯を水木しげるが漫画で描く「猫楠」

よく寝る本

本日も快眠を目指すため、寝る前読書にぴったりな本をおすすめします。

天才というと誰を思い浮かべるでしょうか。

エジソン、アインシュタイン、ニュートンなどなど古今東西において天才と言われる人は多々おります。

中には、ただ天才なだけでなく奇行や桁外れのスケール感を持った奇才と言われる人も。

日本の歴史において、天才と奇才の両側面を持ち合わせた「南方熊楠」という人がいます。

超絶天才にして奇行家。そんな南方熊楠の生涯を、これまた天才と奇才のハイブリット水木しげる先生が漫画に。

本日紹介するのは南方熊楠がどのような人だったかを描いた「猫楠 南方熊楠の生涯」という漫画です。

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天才同士!水木しげる先生が南方熊楠の漫画を描く「猫楠」

日本を代表する天才「南方熊楠」

南方熊楠は1867生まれの博物学者であり生物学者かつ民俗学者。日本史においても類稀なる天才と評される人物です。

幼少の頃からその才能は優れており、よそのお宅で見せてもらった百科事典『和漢三才図会』を記憶して、筆写したというから驚き。

和歌山県にある南方熊楠記念館に行ったことがありますが、南方熊楠の記した文章や絵などはどれも細かい字と正確な絵で構成されており、多方面で才能があったことがわかります。

19歳のころ学問のためにアメリカに渡ったかと思えばいろいろあってキューバのサーカス団員に。その後イギリスにわたり本格的に学問。

有名な科学誌「ネイチャー」などに論文を寄稿したりもし、南方熊楠は日本人としてはかなり先駆的な人物でもありました。

その後日本に帰国。南方熊楠は優れた才能を持ちながら大学などで研究者としてでなく、地元和歌山の田辺で在野の研究家として一生を過ごしました。

粘菌

主にシダ類や粘菌の研究に没頭し、その研究成果は昭和天皇に進講したことも。

多才かつ深淵なる天才南方熊楠の知識や考えは現在でも多くの日本人の興味を惹きつけています。

南方熊楠の漫画。水木しげる先生の「猫楠」

簡単には書ききれない天才、南方熊楠の生涯。それをわかりやすく漫画にしたのが水木しげる先生の「猫楠」です。

南方熊楠の生涯を飼い猫とともに追っていくという内容の漫画(猫の名前が「猫楠」)。

「猫楠」では途中若干ファンタジーっぽい演出なども出てきますが、スケールがでかくその神秘的な研究スタイルの熊楠とうまくマッチしており、さほど違和感はありません(魔女とかでてくるけど)。

水木しげる先生の妖怪以外の漫画で「神秘家列伝」というものがあります。こちらもコナンドイルなどをはじめとした、この世ならざる世界に関しての研究や実績のある人を取り上げた漫画。歴史的に有名な人から無名だけれども神秘の世界に精通した人まで幅広く取り上げられており、水木作品の中でも大変好きな漫画の一つです。

水木先生自体も描かれているテーマが現実を超越したものが多いので、南方熊楠のような人に強く惹かれるのだと思います。

「猫楠」以前にも水木しげる先生は南方熊楠の漫画を描いており「奇人怪人大図鑑(ちくま文庫―妖怪ワンダーランド)」に収録されています(「怪傑くまくす」というタイトルで)。

同じ人物を主人公に何度も漫画を描くなど、よほど水木先生の南方熊楠への思いれの深さを感じます。

読んだ感想では「怪傑くまくす」に書ききれなかった熱量や自分の熊楠への思いやその生涯のディティールなどを「猫楠」に詰め込んだといった感じ。

水木先生以外にも南方熊楠を題材にした漫画「てんぎゃん-南方熊楠伝-」などがあります。私としてはその神秘的な作風とマッチしているという点でも水木先生の「猫楠」をおすすめします。

南方熊楠の人生。身近なことから世界の仕組みを考える

曼荼羅

先にも述べた通り、南方熊楠という人は大学などの研究室に入らず在野の研究者として自らの研究を深めていきました。

漫画を読んでいて、南方熊楠という人はすごく身近なところから世界の成り立ちを探求していたのだなという感想を持ちました。

自分の庭、地域の森などで粘菌を採取し調べることで生命の神秘であったり、宗教的、民俗学的なことにいたるまでその知識を深めていたように感じます。

もちろん、他の学術論文や資料などを取り寄せたりもしていたのでしょうが、身近にあるものに興味を持ち、それを深く調べることで得られる新たな知見というものが多いにあったようです。

余談ですが南方熊楠は「南方曼荼羅(マンダラ)」というというものを残しています。

そこにある考えは難しく簡単には理解しづらいものですが、そのような宗教性、神秘性の部分でも大天才の知識がいかんなく発揮されその成果が残されています。

南方曼荼羅

寝る前に、「猫楠」で南方熊楠の大きな世界観に触れる

宇宙のイメージ

「猫楠」は南方熊楠という人間の壮大さもさることながら、水木しげる先生の熱量がすごい漫画です。

「猫楠」に込められた熱量から、一見頭が疲れそうなぐらいの情報量にも見えます。

たしかに情報量は多いのですが、漫画に描かれているは壮大な世界観であり、知の世界に大きな足跡を残した人物の生き様なのです。様々な事象から世界の成り立ちを解き明かそうという気迫さえあります。

「猫楠」に描かれる南方熊楠の世界観やスケールの大きさに触れていると、普段自分がとらわれていることがなんだかちっぽけな感じがする時もあり、ささいな物事にとらわれず生きていこうと再認識する瞬間も。

これが文章だとちょっとしんどいかもしれませんが、漫画なのでそのイメージも伝わって来やすいかと思います(水木しげる先生の絵力は相当パワフルですが)。

話題はあっちへ行ったりこっちへ行ったりと多方面にわたりますが、日本が生んだ大天才の大きな世界観に触れて、浮世のわずらわしさやせせこましさから解放されてみてください。

そして漫画「猫楠」で南方熊楠に興味を持った人はその研究の足跡などを調べてみるのもおすすめです(和歌山県の南紀白浜に「南方熊楠記念館」があるのでそちらもおすすめ)。

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