入れ替わりの激しい漫画業界。
週刊誌なんか見ていると思いますが、連載漫画というのは恐ろしいスピードで移り変わっていきます。
そうした生き馬の目を抜く漫画業界で、常に第一線で描き続けている漫画高橋留美子先生。
古くは「うる星やつら」、近年でも「犬夜叉」や「境界のRINNE」など長きにわたって読者のハートをわしづかみにしてくれています。
様々な名作があるなかで、私は寝る前に読む作品としてイチオシしたいのが「うる星やつら」です。
高橋留美子作品で一押しギャグ漫画「うる星やつら」
高橋留美子作品の中で際立つ「うる星やつら」のギャグクオリティ
私は今30代なので、高橋留美子作品といえば「らんま1/2」世代にあたります。
漫画連載も見ていたし、早朝にアニメをやっていたので、親しみで言えばらんま1/2のほうが強いかもしれません。
ただ、昔は夕方や夏休みの午前中に昔のアニメの再放送がしょっちゅう放映されていて、その中でも「うる星やつら」率がかなり高いほうでした。
小学生ぐらいの時は「うる星やつら」は高橋留美子先生のらんま1/2以外の作品という印象で、ただなんとなく見ていたって感じです。
しかし、時はたち大学時代になってから漫画版の「うる星やつら」を見直した時、認識は一変しました。
「なんだ、、、このギャグのクオリティーは!」
高橋留美子はギャグのテンポや間が抜群にうまい
私はもともとお笑いが好きなので、ギャグマンガなども好きなのですが、「うる星やつら」はギャグマンガとしてみた時、高橋留美子作品の中でも群を抜いて優れていると思います。
時にドタバタギャグ、時に不条理な間で挟み込んでくるギャグ(こういうのがたまらなく面白かったりします)。
「うる星やつら」は基本一話読み切りの形式ですが、一つの話の中に絶妙な量のギャグがちりばめられています。
わざとらしかったり、きつすぎないギャグと言いましょうか。これ見よがしではなく、それぞれのキャラが物語の世界観に合った上での面白い行動がたまりません。
また、高橋留美子先生の絵のうまさ。諸星あたるやラムちゃんのポージングがのびのびとページ内に広がり、そのアクションがさらに面白さやギャグを倍増させているのです。
「うる星やつら」を一押しする理由
私は高橋留美子先生の作品の中で、ギャグ漫画として捉えたならば「うる星やつら」を一押しします。
「らんま1/2」や「めぞん一刻」もだいたい同じようにギャグを放り込んでくる形式ですが、どちらかというとストーリー要素が強いです。
らんまで言えば格闘要素メインにギャグを絡ませる形、めぞん一刻で言えば人間模様の中にギャグを絡ませる形。
私の中で「うる星やつら」はあくまで日常ギャグマンガなのです。たまに人間模様やストーリーが絡んで数話にわたるものもありますが、それでも基本は日常ほのぼのギャグマンガです。
ある意味「うる星やつら」はストーリーよりもギャグありきの漫画ともいえるでしょう。
もちろん高橋留美子先生の作品全般を通してギャグは面白いですが、上記の理由で純粋にギャグ漫画としてみた時には「うる星やつら」を一押ししたいです。
寝る前に読む漫画としてもおすすめです。
あえて寝る前に読みたいという点でも「うる星やつら」の日常ほのぼのギャグはリラックスして楽しめます。また一話完結が多いので好きなところで読書を中断できるので、寝る前の読書におすすめした漫画です。
「らんま1/2」の場合だとこのストーリーが終わるまでは中断しづらいってこともあり、寝るタイミングを逃すかもしれません。
(ちなみにこの記事を書いている時点では、寝る前に「幽☆遊☆白書」を読み直しています。めちゃくちゃ面白いのですが、なかなか区切りどころが難しく、すこし寝不足気味です。)
色褪せない「うる星やつら」の魅力
いつまでも可愛らしく魅力的な「うる星やつら」のキャラクター達
「うる星やつら」を昔読んでいた、テレビで見ていたって人は結構多いと思います(どの年代の人でも何かしら高橋留美子先生の作品に親しみがあるというのはすごい)。
ただ、全巻持っている人は別として、最近読んだって人は少ないのではないでしょうか。
そういう人にこそ、今一度「うる星やつら」を手にとって読んでもらいたいです。
昨今、様々な漫画が溢れており、表現手法やキャラクターの描き方やギャグなどもその時代時代で大きく移り変わっています。
少し前の漫画であったり、年配の漫画家さんの作品にはやはり時代感がつきまとい、ちょっと現代の絵柄とのギャップなどにとまどい覚えることもしばしば。
そんな中でも「うる星やつら」は今読んでも古さを感じさせず、キャラクター達にも新鮮な魅力で溢れています。
主人公の諸星あたるとラムちゃんをはじめ各魅力的なキャラクター達。ヘアスタイルや格好にはどうしても時代感がありますが、根本的なもの(表情や全体の描き方など)に関してはその魅力は時代を経た普遍的な魅力を持っています(町内のクリスマス会に見る、普通の可笑し味「ちびまる子ちゃん」)。
今のラブコメ漫画のベースとなった作品
現在までに漫画であったり、アニメ、ゲームでラブコメを題材にした作品は様々ありますが、私の中ではこの「うる星やつら」がそれらのベースとなっていると思っています。
諸星あたるを取り巻く様々な女性キャラクター。ヒロインとしてのラムちゃん。怪力キャラのしのぶ。ボーイッシュな竜之介。悪女キャラのランちゃん。知的キャラのおユキちゃん。体育会系キャラの弁天さま。お姉さんキャラのサクラさん。可愛いながらも性格やタイプの全然違う魅力的なキャラクターが混じり合うことでおこるギャグや面白さという構図は現代のラブコメにも引き継がれています。
ギャグあり、恋愛あり、怖さやアクションにSFなど様々なジャンルのエンターテイメントが描かれています。一見バラバラな要素ですが、魅力的なキャラクター達がうまくまとめ上げ、どの話でも「うる星やつら」らしさを失わなず面白く魅力的な作品に仕上がっているところに高橋留美子先生の素晴らしさがあります。
この世界観に浸っていたいなぁという心地よさ
世界に影響を与えた映画「攻殻機動隊」などを撮った押井守監督の作品に「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」というものがあります。
原作にはないオリジナルストーリーで、漫画のドタバタギャグとは違った結構頭を使う、がっつりSFテイストな作品なのですが名作です。
この映画ではあたるやラムちゃん達の高校の学園祭前日、みんなで準備をしているところが舞台となっています。映画の中で、この楽しい時間がずっと続けばいいなというニュアンスのセリフが出てきます。
「うる星やつら」という作品自体がまさにそういう感じ。学生時代ののんきで馬鹿なことや甘酸っぱいことが起こっていた日常がキラキラと描かれているからです。
ギャグ漫画ではあるけれども、どこか自分の学生時代とリンクしたり、懐かしさあったかさみたいなのも話の中に投影してしまうのです。
この世界観がずっと終わらずに続いて欲しいなって願ってしまう作品なのです。
「うる星やつら」の世界観にずっと浸っていたいなぁって心地よさが魅力。寝る前のひと時に、ちょいと浮世を忘れてほのぼのギャグの世界で息抜きするのもありだと思います。