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もやしもん作者の傑作短編漫画「テシェキュルエデリム~ありがとう」

トルコイメージ よく寝る本

私の好きな漫画に「もやしもん」があります。

菌を肉眼で見る(キャラクター化して見える)能力を持った主人公が農大で様々な経験をする、スークルコメディな内容。

コメディーでありつつも、身近なお酒やワインなどにまつわる発酵や菌の情報がいたるところで絡んできて、勉強になりつつ興味の幅も広がる傑作漫画です。

その「もやしもん」の作者、石川雅之先生の隠れた傑作短編「テシェキュルエデリム~ありがとう(Tesekkur ederim)」を紹介します。

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もやしもんの作者が漫画で描く「エルトゥールル号事件」

「もやしもん」の作者石川雅之先生の隠れた傑作と言えるわけ。


テシェキュルエデリム~ありがとう (モーニングコミックス)

石川雅之先生は「もやしもん」をはじめ、「純潔のマリア」、「惑わない星」など数々の名作を描かれています。

力強い線と可愛らしくも個性豊かなキャラクター、そして深いストーリー性が魅力。一コマ一コマに魂がみなぎっている作家さんです。

そんな石川先生のファンで、「もやしもん」など出版されているコミックスを全部持っているという人でもこの作品を知らない人は以外と多いのではないでしょうか。

なぜなら、この「テシェキュルエデリム~ありがとう」はkindleなど電子書籍でしか購入することができないからです。

36ページの短編。電子書籍でしか購入できないなど、ペーパーブック派の人には読むのに少しハードルがあります。石川雅之先生のファンでも読んだことが無い人の方が大半かもしれません。

しかし「テシェキュルエデリム~ありがとう」という漫画、かなりの感動作。今まで短編漫画であまり感動するような作品に出会ったことはありませんでしたが、これはかなりの傑作と言っていい出来です。

トルコが親日な理由。和歌山県串本町の「エルトゥールル号」沈没事故

海難事故

「テシェキュルエデリム~ありがとう」の内容は、1890年に和歌山県の串本町で起きた、オスマンテントルコの軍艦「エルトゥールル号」の沈没事故を描いたものです。

串本町沖に嵐が来て、軍艦が沈没。その時、串本の町民は我が身の危険をかえりみず、トルコ人の船員の救出にあたったそうです(この事故は「海難1890」という映画にもなっています)。

その出来事は今でもトルコで伝えられており、イラン・イラク戦争の際には危険地帯に取り残された日本人の救出という形で恩返ししてくれたとのことです。トルコという国は世界でも親日の国とされています。

このトルコとの親交のきっかけとなった「エルトゥールル号」沈没事故は時々テレビの雑学系バラエティでも取り上げられるものですが、多くの日本人はまだまだ知らない出来事でしょう。

しかし、トルコではエルトゥールル号のことが歴史の教科書にまで載っているらしく、感謝の思いを子々孫々に伝えようということがわかります。

トルコと日本。国と国とを超えた助け合いの精神

トルコイメージ

困っている人を助けるという精神。

しかし、それが我が身に危険が及ぶとわかっている中で行うということはなかなかできることではありません。

「テシェキュルエデリム~ありがとう」に出てくる人々はそんな危険をもかえりみず、勇気と信念の行動を示します。

この漫画の良いところは、人々がただただシンプルに相手を助けてあげたいという気持ちを巧みに描き出しているところ。

様々な政治的問題や周りの人々の意見など複雑なものが絡み合う中、助けたいというシンプルな感情を第一に行動に移す登場人物たちがとてもキラキラしているのです。

石川雅之先生の描く双方の国の人々の表情やセリフの一つ一つが素晴らしく、短いページ数の中に人にとって大切な気持ちがぎゅっと詰まっています。

トルコ人の海難救出にあたった、串本町の島民の心意気。イラク・イラン戦争の中、日本人の救出に向かったトルコの人々の心意気。

「テシェキュルエデリム~ありがとう」という短編漫画で人助けをする時、シンプルなその心意気こそが最も大切なものだと気づかされます。

「エルトゥールル号」事故の舞台となった串本町の大島

和歌山県串本町大島

「テシェキュルエデリム~ありがとう」の「エルトゥールル号」沈没事故の舞台となった和歌山県串本町の大島というところに何度か行ったことがありますが、風光明媚な素敵な島です(橋がかかっているので車でも行けます)。

島内にはトルコ記念館やトルコのお土産物屋さん(トルコアイスも売っていました)もあり、トルコへの親愛の気持ちがいたるところで見られます。

慰霊碑や灯台もあり、その先から海が見えるのですが、島付近は荒波とゴツゴツした岩が密集するなかなかハードな場所。

このような場所で、沈没したエルトゥールル号から人々を救助するなどという難しい、それこそ自らの命に危険が及ぶような事を成し遂げたのかと思うと、その当時の串本の人々への敬意が湧き上がってきました。

(漫画の舞台となっている串本町の大島はとても気持ちの良い場所なので和歌山県に行った際はおすすめの観光地です。)

石川雅之先生の描く力があってこその傑作短編漫画

「テシェキュルエデリム~ありがとう」は石川雅之先生の人物描写力があってこその面白い漫画です。

海難事故という描きにくい題材のため、生半可な漫画家さんでは、ここまでの感動作には仕上がらなかったでしょう(「もやしもん」だって、菌をあれだけ可愛く描く力がなければ、あのような傑作にはならなかったでしょう)。

石川雅之先生の描く一コマ一コマから、なんとも言い難い人情や思いやりが溢れ出ています。そして当時の人々の表情が丁寧に描き出されており、「エルトゥールル号」沈没事故当時の緊迫感、助けようとする人たちの心意気がリアルに伝わってきます。

過去に実際にあった出来事。映像のない時代の出来事を優れた短編漫画で追体験できる面白さ。

「テシェキュルエデリム~ありがとう」は短編という短いページ数の中で、人の純粋な思いを巧みに描き出している傑作です。「もやしもん」などで石川雅之先生の世界が大好きな人には、是非是非読んでほしい短編漫画!

寝る前のほんの短い時間で読み切れる作品です。ジーンとした感動を抱いて眠りにつくのもまた良しです。


テシェキュルエデリム~ありがとう (モーニングコミックス)

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