心穏やかに眠りたい。誰しもが願うことです。
しかし現実には日中の雑事を布団の中まで引きずってしまうことも多いです。
仕事でのミスや締め切り、ご近所付き合い、人間関係、家族の問題などなど。日々を生きる我々には喜びも多いですが、困ったことやストレスのかかることも多々あります。
そんな不安やストレスを少しでもやわらげて、ゆるやかに安心した気持ちにさせてくれるのがアランの「幸福論」です。
普遍的な哲学「アランの幸福論」のおすすめポイント
ちょとやそっとの時代の変化に流されない普遍的なものがある
アランの「幸福論」ではプロポ(断章)と呼ばれる短いコラム上のもので構成されており、一つ一つ日常に起こる様々な問題やことがらを取り上げ、どう向かい合うべきかといったことを書いています。ある種哲学的な内容。
100年ほど前に書かれた著作ですが、現代人が読んでも役に立つ考察が沢山載っています。
この本が書かれた時代は1928年。今とはまるっきり時代背景や社会情勢、倫理観や道徳観も違っていたはずです(何せ世界恐慌よりも前の時代ですから)。
そんな時代に書かれた「幸福論」ですが、読んでいくと昔も今も悩みの種類の根底は同じようなもので、どの時代でもついてまわるものだということがわかります。
だからこそ、その問題や悩みの解決方法も普遍的に時代を経ても役に立つのでしょう。
哲学?近所の面倒見の良いおっちゃん的な
内容は少し哲学的であったり、精神論的なところもあります。
しかし他のそういう本と違う点は語り口が非常にやわらかいという点です。
世に様々ある日常の諸問題に対する哲学的であったり自己啓発書の類は、役に立つものも多いですが、やや内容が硬かったりします。
科学的視点から論じていたり、断定的であったり、時には若干押し付けがましく感じる時も。問題を著者の日常と切り離した感じで、あくまで自分はその問題を解決するエキスパートであるというようなそんな語り口の本を時々目にします。エキスパートなんだろうけど、いまいち信用仕切れないみたいな。
もし、自分の日常の諸問題を解決したい時、できれ信用できる人に聞いてもらいたいものです。
その点アランの「幸福論」はあくまで自分の語り口で進行していきます。自分の語り口とは「最近身近でこんなことが起こったんだ。それで、こんな風に考えたんだ。たぶんそういうことなんだろう。」というような断定というよりも「そう思う」的な自分の意見を言ってくれることを指します。
読んでいると、専門家の意見というよりも近所の面倒見の良い、なおかつ社会の荒波にもまれていろんな経験をしてきたおっちゃんが「そうか〜、困っとるんか。おっちゃんも色々あってなぁ。そんな時にはこんなふうに解決してきたもんや。」とでも言っているような。私にとってアランの「幸福論」とはこう言うノリのわりと気軽に悩み相談できるおっちゃん的な本なのです。そしてわりといいアドバイスをくれたりします。
名言「悲観主義は気分によるものであり楽観主義は意志によるものである」
これは名言ですね。アランの「幸福論」全体として貫かれているものに楽観主義があります。
もちろん楽観主義(ポジティブ)、悲観主義(ネガティブ)はあるていど性格的なものもあります。悲観主義の人はどんなことが起こっても自動的にネガティブな結果を予想、妄想してしまう傾向にあります。
私もどちらかといえばネガティブなたちなので、この傾向には苦労してきました。
しかし、この「悲観主義は気分によるものであり楽観主義は意志によるものである」という一文を読んだ時に、ハッとなりました。たしかにネガティブな感情は気分に応じて自動的に湧き上がってくることもあるが、たとえそんな状態でもポジティブな感情を持とうという意志は自分で選択できるのだと。
これは感情というよりも考え方を変えると捉えたほうがいいかもしれません。泣くも人生、笑うも人生という言葉がありますが、その人生に対する考え方、感情の持ち方をどうするかたは自分の意思で決定できるということです(西原理恵子先生の強さ。綺麗事じゃ無い「洗えば使える泥名言」)。
「自分で選択できる」という当たり前といえば当たり前のことですが、この考え方は改めて私の人生に役になっています。
寝る前読書におすすめの理由
アランの幸福論には普遍的に役立つ内容が満載
様々な事柄に対して考察したプロポが93編もあるので、今の自分の悩みや不安、煩わしく感じている雑事に対して普遍的に役に立つの何かしらのアドバイスが見つかります。
さすがにものすごく大きな悩みを抱えている状態をすぐに解決するだけの力はないかもしれません(少し悩みが軽くなる可能性はありますが)。しかし、日常的にぽつぽつと起こる、布団の中でちょっと眠りを妨げる程度の日常の悩みに対してはなかなか効果があると思います。
私も日中の仕事や様々なことでちょっとした悩みを布団の中まで持ち込んでしまった時は「幸福論」を読みます。ぱらぱらと読んでいると、どこかに自分の今の状態に近いプロポ(諸問題に対する哲学的なもの)が見つかるので、それを読めばわりと安心でき、眠りにも付きやすくなります。
一つのプロポを読み終わるのに10分もかからないと思います。「あっ、これは違うかな?」と思ったら他のプロポを探せばいいのです。どこかに自分に役立つものがみつかるでしょう。
快眠、熟睡には安心して眠ることが大切だと考えます。「幸福論」で少しでも不安を解消し、安眠につながればこれ幸いです。
こんな人にオススメします
- 布団に入ると日常の不安を思い出す人
- とにかく安心して眠りたい人
- 悲観主義(ネガティブ)気味な人
- 日常に対する様々な考察を取り込みたい人
寝る時のちょっとした御守り代わりとでも言いましょうか。
私にとってのアランの「幸福論」は安心を得たり、問題を解決するためのお役立ちアイテムでもあります。
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