寝る前にほっとした気分になりたい。心地よい状態、優しい気持ちでですんなり眠りにつきたいというのは誰しも思うことでしょう。
しかし、その心地よい気分とは、何かしらの不安や気になることがあってはなかなかなれるものではありません。
私も、日中の仕事で疲れきって「さぁ、ゆっくり寝てことの疲れをとりのぞくぞ!」と決意するも、そんな時にかぎっていろいろなことが頭をよぎり、なかなか寝付けないことがあります。
そこで、人間の長い歴史の中で磨き抜かれてきたお経の世界を取り入れて安眠、快眠を目指すのはいかがでしょうか。
今回紹介するのは瀬戸内寂聴さんの入門書としてもおすすめしたい「寂聴の美しいお経」の紹介です。
優しい気持ちになれる「寂聴の美しいお経」をおすすめする理由
人生色々、寂聴さんも色々
著者は作家であり、僧侶でもある瀬戸内寂聴さん。
もともと女流作家の大家として成功も収めていましたが、人生の転換期に僧侶の道へ。
以前、瀬戸内寂聴さんの人生をドラマでやっていましたが、家族を捨てたり激しい恋愛をしたりとかなり濃ゆい内容でした。
「ただの人生相談にたけた、作家兼業のおばあちゃんじゃないのか。」と寂聴さんの新たな面を知ることができて、かなり面白いドラマだったのを覚えています。
これだけ様々な経験をされているからこそ、現在でも様々な悩みを持つ人の人生相談などに応えられるのでしょう。
90歳をすぎた今でも精力的に活動されています。
寂聴さんのお説法は遠路からも人を集めるほどの人気だそう。
最近では若くて美人の秘書さんとの生活も話題になり、寂聴さんのお茶目っぷりもメディアでよく見かけます。
お葬式の時だけでない、優しいお経の良さ
そんな寂聴さんが選んだ、お経選集です。
どれも短く、数行に満たないものばかりですがそこには長年磨き抜かれて人を救ってきたお経の英知が込められています。
短い言葉に込められた、お経というものの優しさ、良さをシンプルにまとめたのが「寂聴の美しいお経」。
本書の冒頭にも
「どこへでも持ち運べて、いつでも気軽に開いたら、どの頁にも短い美しいお経や詩歌の言葉が囁きかけてくれる。疲れた時、寂しい時、心に屈託をかかえている時、孤独で泣きたい時、あるいは幸福感で心が満ち足りて思わず誰かに話しかけたいような時、こっそり開いてみたら、自分の心を見すかしたようや、なつかしい美しいお経や詩の短い言葉が応えてくれている」
とあります。
まさに本書は、日常の様々な感情に応えてくれるお経ばかりが選ばれており、その優しさに短い時間でほっと一息つくことができます。読み終えると少し優しい気持ちになれますよ。
寂聴さんの入門書にも
一つ一つの言葉、響きが美しい
載っているお経は基本的に仏様の教えとなっています。また、仏僧の詩歌なども多く収録されています。
「お経って宗教的でなんか敬遠してしまうなぁ。」という人も多いかもしれません。
しかし宗教的な意味合いだけでなく、日常を生きる我々の助けになるものが沢山あります。本来お経というものは人を助けるための知恵であり、特にその意味合いが強いものを選ばれているように感じます。
また、お経、詩歌、言葉一つ一つがとても美しいのが特徴です。
漢字というものの特徴に一字にそれぞれ意味があるということがあります。
たとえば「美」であったり「幸」という字には見るだけでその意味合いが頭の中に浮かび、よい心持ちになったりするものが漢字の良さ。
掲載されているお経や詩歌には美しく、心が軽やかになるような漢字の組み合わせが多く、意味を理解する前の段階でも気持ちが良くなっていきます(関連記事:世界の各地で語り継がれる名言「世界で1000年生きている言葉」)。
瀬戸内寂聴さんの入門書にもおすすめ
様々な書籍を発表されている寂聴さんですが、その中でも「寂聴の美しいお経」入門書にはおすすめします。
寂聴さんの本の中には性愛を描いたものやもっと仏教の深遠な世界観を描いたものが色々あります。
私も「奇縁まんだら」や「また逢いましょう」、「わが性と生」などいくつか読んだことがありますが、非常に内容の濃いもの。
もちろんそれらの本は素晴らしい内容です。ただ、もう少しライトな入門編として本書が適していると感じます。
時代時代において、寂聴さんの年齢によって描く題材やテーマに移り変わりはあります。
その中で一般的にテレビで拝見する寂聴さんの優しい、力強いイメージをうまく表しているのが本書でしょう。
選集の形をとっていますが、寂聴さんの多くの人を救い、安らかで楽しい人生を送って欲しいという気持ちが込められています。その点でも今の寂聴さんの優しさに触れる意味で「寂聴の美しいお経」を入門書としておすすめします。
こんな人におすすめします
- 瀬戸内寂聴さんの本を読んでみたい人
- 優しい気持ちになって眠りたい人
- 仏教やお経に興味がある人
- 詩歌が好きな人
- 寝る前にちょっとだけ読書したい人
本書は直接的な問題を解決するような内容ではありません。また、お経という題材を扱うので、仏教を主軸とした宗教的な内容も出てきます。
しかし、読み続けていれば、社会の様々な物事に対処する新たな考え方のようなものが蓄えられていく気がします。
長い間受け継がれ、磨き抜かれてきたお経の中でも、瀬戸内寂聴さんが選び抜いたものを集めた「寂聴の美しいお経」。
寂聴さんがおすすめする美しいお経、言葉の世界にイメージをひろげ、優しい気持ちになって眠りを楽しんでください。
【関連記事】:面倒見の良いおっちゃん、のようなアドバイス。アランの「幸福論」