時には映画の話でも。
先日、前から気になっていた「ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生」を観に行きました。
「ボヘミアン・ラプソディ」と迷いましたが、うちの妻がハリポタ好きなので、まずは「ファンタスティック・ビースト」から。
感想としては、今までのハリーポッターシリーズや前作も観ていますが、正直今回の作品はかなり出来がいい!
私の中では初めて映画化された「ハリーポッターと賢者の石」の感動に匹敵するぐらい面白い作品でした。
色々と興奮する場面などもあったので、その魅力なんかを交えて記したいと思います。
【感想】「ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生」は大人も満足のファンタジー
ジョニー・デップのグリンデルバルドがめちゃくちゃかっこいい
何はさておき言いたいのは、前作の「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」ではちらっとしか出てこなかったジョニー・デップ演じるグリンデルバルドがめちゃくちゃかっこいいです。
グリンデルバルドはハリーポッターシリーズでは過去の悪い魔法使いぐらいでしか登場してきませんが、ファンタスティック・ビーストでは重要な役どころ。
最近私生活のスキャンダルで色々と言われているジョニー・デップですが、この悪い魔法使いをめちゃくちゃ格好良く演じきっています。
白髪ツーブロックのヒゲ面、オッドアイ(色違いという感じではないけれど)、クラシカルなコート姿。
ファンタジー系(特にティム・バートン作品)ではややトリッキーな衣装が多いだけに、今回のグリンデルバルドはジョニー・デップの渋格好よさをしっかり活かしたデザインなのが大満足。
ジュード・ロウのダンブルドアも格好いい
予告を観た段階では、ジョニー・デップのグリンデルバルドに注目がいっていたのですが、実際見てみるとジュード・ロウのダンブルドアも予想以上のハマり役でした。
若干額のはげかかったジュード・ロウですが、中年の頃のダンブルドアをいい感じの渋さで演じています。
私の感想としてはハリーポッターシリーズのダンブルドアと比較しても「若い頃はこんな感じだったのだろう」と違和感なくしっくりくる配役。
「最近のジュード・ロウって何に出てたっけ?」という感じだったので、これは当たり役になるんじゃないかなという予感も。
(そういえばジョニー・デップとジュード・ロウって「Dr.パルナサスの鏡」の鏡でも共演してますね。)
「黒い魔法使いの誕生」でようやくハリーポッターらしさが出てきました
前作「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」では、私的に、正直ハリーポッターらしさがあまり感じられませんでした。
登場人物や杖、魔法、魔法省のシステムなどは確かに繋がってるんだけれども、なにかまったく別の映画を観ている気分。
しかし、今回の「ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生」ではそんな感じは一切せず、最初っから「これはハリーポッターの世界だ!」とすんなり引き込まれる展開。
しょっぱな、収監されていたグリンデルバルドがアメリカからイギリスへの送還途中に脱獄するところから始まります。
この送還シーン。グリンデルバルドが載せられるのは空飛ぶ馬(セストラルでしたっけ?)が引く馬車。当然空を飛びながらの送還となります。
馬車の後ろには箒にまたがった護衛の人。待ってました、空飛ぶ箒!
この空を飛ぶシーンを観た時こそ、「ハリーポッターだ!」と引き込まれた瞬間です。他にもホグワーツ城なども出てくるので、前作よりも格段にハリーポッターシリーズらしさを楽しめました。
(途中グリンデルバルドが馬車を奪い、操縦するのですが、そのシーンもしびれる格好よさです。)
映像が格段に上がっている印象
今までのハリーポッターシリーズや前作に比べて、格段に映像のクオリティが上がっているという感想を持ちました
グリンデルバルドの空中送還シーン、ニュート・スキャマンダーが水中でケルピーに捕まるシーン、ズーウという中国の猫型モンスターが暴れるところなど、どれをとっても滑らかで綺麗。
CGっぽさが減っているというか、映像全体的に自然な仕上がり感が増しています(ニュート・スキャマンダーと毛深いズーウがじゃれ合うところなど、毛の表現がかなりナチュラル)。
特にハリーポッターシリーズなどは(ちょっと前の技術ということもありますが)いかにもCGといった感じがいなめないところが多かったので、この点でも「ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生」はクオリティ高いです。
【感想】ストーリーが骨太で大人にも楽しめるファンタジー
ハリーポッターシリーズはどうしても原作の映画化という印象が否めませんでした。あくまで映画そのものの面白さよりも原作をいかに再現するかというとこに注力されている感じ。前作「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」も可愛いモンスターで魅せますよ的な感想を持ちました。
今回の「ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生」ではまったくのオリジナルストーリーかつ、ハリーポッターシリーズであるということにも満足させてくれる作品。
特に良かったのがグリンデルバルドの立ち位置。グリンデルバルドはが集会を開き、当時の魔法界において不満を抱えている魔法使いたちを巧みに扇動するシーンが出てきます。
魔法省は闇祓いを派遣して、阻止しようとしますがグリンデルバルドからは手を出しません。観衆の一人が暴発し、闇祓いに倒されます。
この時点で、現状のシステムを維持する側の魔法省は、この集会に集まった魔法使いから批判の的となる。
グリンデルバルドは、集まった魔法使いたちにこの現状を広めよと、皆を解散させます。
こういう心理戦といいますが、単に魔法でドンパチするのではなく、グリンデルバルドという悪の魔法使いがいかに自分の思想を広めようとしているかという流れも描かれているのが良かったです。
そういう狡猾に民衆を扇動しようとするシーンが描かれることで、グリンデルバルドというキャラクターに厚みが持たされ、より悪役としての魅力が深まった気がします。
少し子供には難しいかもしれませんが、こういうテイストのシーンが随所にあることで、大人にも十分楽しめるストーリーに仕上がっていました。
クイニー・ゴールドスタインの離反
ティナ・エスター・ゴールドスタインの妹で心を読める能力を持つクイニー・ゴールドスタインが本作でいいアクセントになっています。
クイニーは前作では明るく奔放なキャラみたいな描かれ方でしたが、「ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生」ではかなりシリアスな展開も。
クイニーは確かに明るいキャラクターではありますが、心を読めるという能力のデメリットも抱えて生きてきました。本作中も、街中で多くの人の心の声に苦悩する場面があります。
また、直接描かれてはいませんが、抑えることのできないこの能力のせいで、迫害なども受け傷ついたこともあったでしょう。
その部分を巧みにつつかれ、クイニーはラストグリンデルバルド側へと行ってしまいます(グリンデルバルドとしてはクイニーの心を読む能力はかなりの武器になるでしょうし)。
まだ裏切りというほどでもありませんが、この離反は今後どう響いてくるのか。
私の感想として、キャラがキャラだっただけにこの展開はかなりショッキングでしたが、こういうことを平気で放り込んでくるのがJ・K・ローリングのすごいところです。
「ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生」ハリーポッターシリーズを補完する最新作
「ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生」はオリジナルかつハリーポッターシリーズのストーリーをしっかりと補完する内容になっています。
たとえば、見世物小屋で囚われている蛇に変身してしまう宿命を持つ女性が出てくるのですが、彼女の名はナギニ。
ハリーポッターシリーズファンならヴォルデモートの蛇だというところがピンとくるでしょう。まだどういう経由でヴォルデモート側につくのかはわかりませんが次回で何かしらの物語は語られるでしょう。
原作「ハリーポッター」でも語られていなかったようなことが数多く出てきます。それこそ原作のストーリーに関わってきそうなことも。
これが下手に映画オリジナル設定をぶっ込んできたならば批判も出るでしょうが「ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生」の脚本はJ・K・ローリング。原作者が脚本を書いているので、これはもうハリーポッターシリーズの本流の設定であるし、ある意味ハリーポッターの最新作とみなしてもいいのかと。
ハリーポッターの原作は完結していますし、小説として新作には出会えないと残念に思っていましたが、こういう形で新たなストーリーを楽しむことができて大満足です。
「ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生」は今作では終わらず次作へと続くエンディング(グリンデルバルドとダンブルドアの関係って友情だけ?本当にあの人の弟?レストレンジ家ってどうなるの?まだまだ気になることが山積み)。
次作で様々なキャラクターがどういう風に交差していくのか、今から楽しみです。