時には映画の話でも。
先日テレビで「シン・ゴジラ」が放映されていました。ご覧になった方も多いのではないでしょうか。
私は今回で4回目の視聴。展開は頭に入っていますが、それでも十分楽しめました。
今でこそ「シン・ゴジラ」を面白いと思っているのですが、一番最初に観た時は「なんだこれ?」って印象でした。
しかし、友人の一言で観る視点を変えてみたところ、その面白さがようやくわかりました。
みなさんなりに「シン・ゴジラ」の面白さはあると思いますが、今回は私なりの見方を記したいと思います。
「シン・ゴジラ」が面白くないと感じた人は見方を変えてみては?
最初に観た時は面白さがわかりませんでした
一番最初に「シン・ゴジラ」を観たのは映画館。ゴジラシリーズの最新作だし、何より監督が庵野秀明さんということで期待度は上がりっぱなし(ナディアとエヴァで心臓わしづかみにされた世代なので)。
ワクワクして映画館に行ったのですが、実際観はじめると「あれ?なんか思っていたのと違うぞ?」という気分に。
登場人物はやたら早口だし、そもそもゴジラのアクションシーンが少ない。
観終わった後、どうも腑に落ちない。一緒に観に行った友人は「これはこれで面白かったよ」との感想でしたが、私にはイマイチそれがわかりませんでした。正直面白くないという感情のほうが強い。
ゴジラの新作にアクション怪獣映画を求めていた
この腑に落ちない理由として、後で気づいたのですが、私は「シン・ゴジラ」に対してアクション怪獣映画を求めていたからだと思います。
平成ゴジラやハリウッド版など、見所はゴジラと別の怪獣が派手に戦うところ。「シン・ゴジラ」に対してもそういうものを求めて行ったから、面白くないと感じたのだと。
映画を見ながらずっと「いつゴジラが派手に暴れまわるのか」ばかりを気にしすぎて、映画そのものや流れに没入していなかったことが原因だと思います。
だからこそ、この日本政府内のやりとりが頭に入ってこず、結果初見の感想はあんまり面白くないという結果に。
友人の言葉で見方が変わる
その後、別の友人と「シン・ゴジラ」について話す機会がありました。
その友人は「シン・ゴジラ」をものすごく気に入っており、熱く語ります。しかし私は正直に「あまり面白くなかった」と伝えました。
映画好きの彼は、気を悪くすることなく、私に「シン・ゴジラ」の見方を教えてくれました。
「シン・ゴジラという作品は悪い人が一人も出てこず、みんなの力(英知)を合わせてゴジラに立ち向かう映画だよ」と。
見方を変えると面白い「シン・ゴジラ」は日本の英知で災害に立ち向かう映画
目からウロコが落ちました。たしかに、「シン・ゴジラ」の中では悪者は一人も出てこず、日本政府内において、それぞれがそれぞれ手を組みながら、得意な分野を生かしてゴジラという災害に立ち向かう映画なのです。
しばらく経って「シン・ゴジラ」がレンタル化された時、その見方で観るとなんと面白いことか!
未だ経験したことのないゴジラという怪獣の災害。日本政府はそれの対処にあたるが、前代未聞の事態ゆえにどの部署でおこなえばいいのか混乱。砲撃一つにしても、様々な承認を得なければならず、これまでの怪獣映画に無いリアリティ。
前代未聞のゴジラという災害に対して、日本トップクラスの英知が力を合わせ、また関係機関の協力を得ながら対策への光明を見出そうとする。
一方でアメリカの攻撃がゴジラに加えられるも、圧倒的な破壊力を持つビームで東京の街は一瞬にして廃墟。総理大臣をはじめ政府中枢機関の人間も死亡。
そんな日本の機能すら危ぶまれる状況においても皆諦めず、アメリカからの核投下のタイムリミットが迫る中、なんとか日本という国た立ちゆく方法での未曾有の災害ゴジラ打倒作を立案決行する。
最初とは違う見方で鑑賞すると「シン・ゴジラ」という映画はこの一連の流れをノンストップで一気に駆け抜ける映画なのだと思うと、ものすごく面白い作品だなということに気づかされました。
ハリウッドとは違いヒーローはいない
これがハリウッド映画などならば、一人の傑出したヒーローがいることでしょう。超常能力を持たずとも、ムキムキで、カリスマ性があり、その人のおかげで解決できるというよくある流れ。
ご都合主義(それはそれで面白いのですが)がまかり通り、市街地でも住民避難すら確認できない中でミサイルが怪獣に向けて飛び交う。
「シン・ゴジラ」もそんな方向性があったかもしれないのに、そうはしなかった。
そこにはヒーロー、いや主人公すらおらず、皆が皆それぞれの得意分野を生かし、英知を集めることによってゴジラという災害に対処する。
怪獣映画なんだけれど、リアルな人間ドラマだななんて印象も。「その時歴史は動いた」みたいな。
悪い人がでてこないのも良かったですね。そのおかげで、一つの目的に向かって、スムーズに皆の力が連結していける。流れ、爽快感的にも心地よいです。
以外とシンプルな構成の邦画
ちょっと見方を変えると、以外とシンプルな邦画であることもわかりました。
「ゴジラという災害が起こる」、「日本国が総力をあげて対処する」以上です。
ストーリーの途中で恋愛模様も裏切りも、実はこんなバックグラウンドがってなこともなく、ただひたすら目的に向かって全力で対処する物語。
下手にこういう要素が入ると、その部分でリズムが狂ってしまうことが映画には多々あるので、その意味では「シン・ゴジラ」は
「シン・ゴジラ」は難しい言葉なんかが飛び交っており、一見するとややこしくも見えますが、ベースとなっている構成はかなりシンプルだといえるでしょう。
何に近いかなって考えた時に思いついたのが役所広司さんが主演をつとめた「突入せよ! あさま山荘事件」。
あの映画も「あさま山荘で人質事件」、「警察が全力で対処する」って構成です。
ゴジラもあさま山荘も構成はシンプルながら、それぞれの人間ドラマで深みのある作品に仕上がっていますね。
「シン・ゴジラ」を面白くないと感じている方へ
「シン・ゴジラ」を面白いと感じられない人もいるかと思います。そういう人は、当初の私のように怪獣アクション映画を期待して観ていたかもしれません。
今まで面白くないと感じられていた方も、私のように、上記の見方で「シン・ゴジラ」を観ると秘められた面白さを発見できるかもしれませんよ。
「みんな面白い面白いって言ってるけどシン・ゴジラの何が面白いんだろう?」って疑問に思っていた人は、物は試し、一度一致団結して災害に立ち向かう映画として観てみることをおすすめします。