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「7日でできる思考のダイエット」佐野研二郎の名言まとめ

「7日でできる思考のダイエット」佐野研二郎デザイン・アート

おすすめのデザイン書籍のご紹介。

今回紹介するのは佐野研二郎さんの「7日でできる思考のダイエット」という本。

佐野研二郎さんといえば、東京五輪ロゴ問題になった人です。世間から既存のロゴをパクったとのバッシングを受けて、結局佐野さんの案が撤回されることとなりました(私は一デザイナーとして、あれはパクリではないと思っています)。

私は佐野さんというデザイナーの考え方を尊敬しているし、自身のデザインにも学ぶことが非常に多いものがあります。

そんな佐野さんの、デザインに対するエッセンスが詰まった「7日でできる思考のダイエット」。そこには佐野さんのデザイン哲学など名言が詰まっています。

特に、デザイナーになったばかりの人に一度は読んでほしい名著をご紹介。私の備忘録的なものとして、本書で特に感銘を受けたところを引用していきたいと思います。

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「7日でできる思考のダイエット」感銘をうけた部分

シンプル・クリア・ボールド

無駄を削ぎ落とすことで、コミュニケーションの質を向上していくということです。(中略)では、どのように無駄を削ぎ落とし、質を上げていけばいいのでしょうか。僕は、
1シンプル、2クリア、3ボールド
というキーワードをあげています。

シンプルとは単純、クリアとは明快、ボールドとは太さのことを指します。これは佐野さんが自身のものづくりにおいて、きちんと良いものを作り続けているかを自問するために設定したキーワードだそう。

デザイナーをやっていると、時々自分の我を出そうとしてしまうこともあります。しかし、一度立ち止まる。果たしてその表現はクライアント様のためであり、ユーザーに伝わりやすいのかと。

特にこの三つのキーワドの中で、特に気に止めているのがボールド。「7日でできる思考のダイエット」の中でももっとも自分のデザインに影響があったキーワードです。シンプルであったりクリアであったりするデザインまでは気にかけるも、そういうものは時に線の細いものになってしまうこともあります。

はたしてそれで人の目にとまるのか。人を引きつけるだけの力があるのか。一番大事なのは、そのデザインが機能をきちんと発揮することだと思います。そのためには、ある程度ボールドに、そのデザインが人の目を引きつけるぐらいのアピール力のあるものでないといけません。

一見おしゃれで、かっこいいデザイン。しかし、情報にまみれた社会において、その表現は人の目にとまりますか?このシンプル、クリア、ボールドはそれを見直すための、究極のキーワードかもしれません。

人物像を作り上げる。

不特定多数の世の中にメッセージを届けようとするよりも、身の回りにいる1人にアプローチしてみることからはじめることが一番大切なのです。

これもついつい忘れがちになってしまうこと。デザインしていると、多くの人に売りたくなり、ついつい「40代女性向け」とか大雑把なイメージで進めてしまうことがあります。

しかし、そういう大雑把なものでなく、もっと具体的な人物像(ペルソナ)を絞り込んだ方が、より緻密なデザインに仕上がるはず。

佐野研二郎さんは、想像の人物像を描くのが難しい場合は、ターゲットを身近な人に置き換えれば良いとも言っています。

チャームポイントを見つける

記憶に残るのは、いろいろな情報が入っているものよりも、たったひとつの情報しかないものなのです。(中略)
僕は、ボールドな(太い)コミュニケーションをするために、これまでの広告キャンペーンでも、この手法を用いながら、企画してきました。(中略)
クライアントは、商品の産みの親で、商品のことをとても愛していますし、「あんなこともこんなこともできる」ということを多く伝えたくなるものです。けれど多くの人は、一方通行で、重すぎる愛を、いっぺんに受け止めることはできないのです。やみくもにたくさんのメッセージを詰め込むことが、コミュニケーションスピードを鈍くするということを肝に銘じておきたいものです。
そういった意味で、商品を訴求する上で、もっとも大切なことは、チャームポイントを見つけてあげることなのかもしれません。

様々な情報の詰まったポスターよりも、一つのコピーが冴え渡るものの方がはるかに記憶に残る。長々としゃべられるよりも、重要な一言の方が、はるかに心に響くし覚えやすい。

デザインにおいても同じで、情報を盛っていくよりも、削除していく方が重要なのかもしれません。削って、削って最後に残ったきらめきこそが、佐野さんのいうチャームポイント。

本書では、一見ネガティブにみえることでもチャームポイントになりうるとあります。自分ではネガティブ要素に見えても、第三者からは強烈なチャーム(魅力)ポイントなのかもしれないのですから。

それと、情報を削って、必要なことのみに絞ったデザインは、伝えたいことにスペースを取れるので、自然ボールドなものになりやすいです。

デザイナーとしてのかっこよさ

駆け出しのデザイナーのころは、広告賞の類に憧れていた気持ちもありましたが、今は、「たくさん商品が売れること」「多くの人の記憶に残ること」ができているほうが、ずっとかっこいいんだと思うようになりました。目指すはど真ん中です。

学生の頃は、とにかくかっこいいデザインというものに憧れていました。将来、そんなおしゃれでかっこいいものをデザインできるようになるぞ!っと。

しかし、実際にデザイナーをしていると「かっこいい」や「おしゃれ」というのは、あくまで商品が売れたりクライアント様が認知されたりするための方法であって、目的ではないということがわかってきます。

そういうことがわかってくると「かっこいい」だったり「おしゃれ」なデザインよりも、長く愛されるロングセラーの商品などのデザインに尊敬の念を抱くようになりました。そしてそういうロングセラーの商品は言い換えれば、長く売れ続けているということです。

>>『「売る」から、「売れる」へ。』水野学の名言まとめ

もちろん、その商品がロングセラーなのは、品質や味がよかったりする要素も多いでしょうが、デザインが関わっている部分も多くを占めています。そういう、人を惹きつけ購買に結びつけるデザイン。「かっこいい」とか「おしゃれ」とは違うデザインかもしれませんが、そういう人に行動を起こさせるデザインができるように自身の腕を磨いていきたいです。

「7日でできる思考のダイエット」若手デザイナーにおすすめな本

ざっと「7日でできる思考のダイエット」の中で、自分が感銘を受けた名言の部分を引用させていただきました。

本書は上記以外にも、実戦で役立つ思考のプロセスなどが数多く記載されています。それはトップクリエイターである佐野研二郎さんが、自身の経験から導き出したデザインメソッド。

特におすすめしたいのは、デザイナーになったばかりの若手の人。いままで大学でかっこいいデザインとかに憧れていた人に、それ以上に大切なことは何なのかということがわかると思います。

デザイナーとは、ただクリエイティブをするだけでなく、結果をださなくてはなりません。ではデザインで結果を出すためには何を意識しなくてはいけないのか。

「7日でできる思考のダイエット」を読んで、実践していけば、その答えが見えてくることでしょう。

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