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アイヌ文化の入門書に「アイヌもっと知りたい!くらしや歴史」

おすすめ入門書「アイヌくらしや歴史もっと知りたい!」読書録

最近、にわかにアイヌ文化が注目を集めています。

漫画「ゴールデンカムイ」が人気を博し、その影響でアイヌ文化に注目する人が増えているのだと思います。

「ゴールデンカムイ」の中でも様々な食文化や罠の使い方、暮らしの様子なども紹介されていますが、よりその世界を知るために何かないかと探していたところ、見つけたのが「アイヌもっと知りたい!くらしや歴史」という本。

写真や図解入りでわかりやすく、アイヌの文化入門書としては最適でした。

アイヌ文化をもっと知りたいと思っている人に、おすすめの入門書「アイヌもっと知りたい!くらしや歴史」の紹介です。

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【わかりやすい】アイヌ文化の入門書におすすめ「アイヌもっと知りたい!くらしや歴史」

「ゴールデンカムイ」で注目を集めているアイヌとは

アイヌの文化を知らない人のために、簡単に説明させていただきます。

アイヌとは北海道を居住権とする先住民族で独特の文化を形成していました。

文字を持たず、口伝の文化継承。アイヌ独自の宗教観など、和人(いわゆる日本語、日本文化を持つ人)とは違う文化体系を築き上げていました。

近代において、日本政府の指導のもと、迫害や差別なども受けていましたが、少しずつアイヌの権利や文化の貴重性などが認められています。

最近では明治の北海道を舞台にした漫画「ゴールデンカムイ」において、多くのアイヌ文化が紹介されたことにより、注目する人が増えています。

アイヌ文化入門書としてとてもわかりやすい「アイヌ」

朗読

この「アイヌもっと知りたい!くらしや歴史」という本は、そのアイヌ文化の入門書としてかなりわかりやすいものでした。

おそらく子供向けに書かれているのかと思いますが、決して内容が薄いわけではなく、どの年代の人にもわかりやすく、アイヌの文化を大まかに知ることができます。

衣食住や宗教観に死生観、そして近代までの歴史や、その中で活躍したアイヌの人々を多くの写真やイラストとともに紹介されているので、まさに入門書としては最適。

私が特に興味深かったのは、子供から大人への節目の風習。

女性が唇周りに刺青を入れるのは知っていましたが、男の子はおとなになる時、前髪を剃り落とす風習があるなどは知りませんでした(そういえば、アイヌの人の写真やイラストってバンダナみたいなの巻いてるものが多いですね)。

細かく読んでいくと、「ゴールデンカムイ」を読んでいただけではわからない習慣を沢山知ることができました。

迫害や差別の歴史も。文化の多様性を認めるということ

「アイヌもっと知りたい!くらしや歴史」では暮らしや文化だけでなく、近代の歴史についても学べます。

正直、アイヌの人々の近代の歴史は苦難のものでした。日本国が北海道を支配し、アイヌの人々は差別や迫害を受けます。時には圧倒的な不平等な取り決めなども飲まなければなりませんでした。

土地の没収、アイヌ語名を名乗ることの禁止、サケ漁や鹿猟の禁止、刺青を含めた伝統的風習の禁止など、和人はあらゆることを要求するように。

沖縄の明治以降の近代史で様々な迫害は知っていましたが、北海道においても同様の迫害、文化的な弾圧が起こっていたのはよく知らなかったので、色々と考えさせられるものがありました。

そうした苦難の中で、自分たちの文化に誇りをもち、戦った人々などの紹介も多数あります。

ただ、アイヌの文化を知るというだけでなく、文化の多様性とそれを認めるということの重要さについて改めて考えさせられます。過去の過ちを知ることで、今後そういったことが繰り返さないためにも、こういったことを学ぶことは意義のあることだと思います。

(文化の多様性に関して、本書冒頭に著者の北原モコットゥナシさんが子供向けにわかりやすいたとえで解説されているのでそちらも読んでみてください。)

関西でアイヌ文化を学ぶなら「国立民族学博物館」がおすすめ

万博のシンボル太陽の塔

十数年前に北海道に行ったことがありましたが、アイヌの村(アイヌコタン)などがあり、そこではアイヌ文化に触れられた記憶があります。

しかし本州ですと、そうした文化を知るには本などで学ぶ以外には難しいかと思います。そんな中で、私がアイヌ文化を学ぶためにおすすめしたいのが、大阪にある国立民族学博物館。

国立民族学博物館は大阪の万博記念公園(太陽の塔でも有名)にある博物館。世界中のあらゆる文化が紹介されており、世界各国の衣食住、宗教的な道具、はては建物までもが揃えられています。

私は年に数回行くほどここが好きなのですが(特別展覧会の質も高い)、常設展でアイヌの文化や道具を見ることができます。

使われていた衣装や祭礼道具、そして家(チセ)も移築されており、書籍で学ぶよりもリアルにアイヌ文化に触れられるのが魅力。

また、博物館内にあるビデオコーナーで、様々な映像資料も見ることができます。私は以前行った時に、アイヌの家の作り方というのを見たのですが、祭礼、建築、建て終わってからのしきたりなど、珍しいものばかりでかなり面白かったです。

入門書である本書を読んで、さらに興味がわいた人は、ぜひ一度国立民族学博物館に行ってみてください。超おすすめです。

入門書から世界が広がる

子供と読書

「アイヌもっと知りたい!くらしや歴史」は入門書としてすごくわかりやすいですし、全体的にも文化のことを網羅しています。しかし詳細や細かいことについてはそこまで載っていません。

しかし、入門書の役割とは、書いて字のごとく、その知識への門に入るきっかけを作るものだと思います。

「ゴールデンカムイ」でアイヌに興味をもち、本書でその文化を知るための一歩を踏み出す。そしてより知りたい人は、さらに別の本で調べたり、北海道で実際に体験しに行くという道もあります。

理想の入門書とは、とにかくわかりやすく魅力的なものがいいのでしょう。たとえ詳しい内容まで載っておらずとも、そこで一歩踏み出すことで、そこからの世界がぐっと広がるきっかけにもなるのですから。

そういう意味で、「アイヌもっと知りたい!くらしや歴史」はアイヌ文化の理想的な入門書であると思います。

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