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「散歩」小林聡美のエッセイとは一味違う魅力!対談集風な本

散歩の本よく寝る本

本日も快眠を目指すため、寝る前読書にぴったりな本をおすすめします。

最近、日中は秋の陽気とほどよい涼しさで、外に出歩くのが本当に気持ちの良い日が続いています。

特に私などは、普段デスクワークで室内にこもりがちですので、外に出た時の空気や日の光は心底良い気持ち。

休日など家の周りをちょっと散歩するだけでも、気分が晴れやかになってきます。

世間でも散歩好きな人って結構いるんじゃないでしょうか。

特に目的を見つけず、ぶらぶらと歩く。時には友人や家族と語り合いながら、その歩く時間を楽しむ散歩。

特に現代など常に頭を使ったり、目的に向かって何かしらを行うことを日常的にしているので、こういう無目的な散歩がある意味贅沢な時間になっているのかもしれません。

今回ご紹介するのは、女優小林聡美さんの対談集的な本「散歩」。

小林聡美さんが仲良しであったり、ご縁のある人々とぶらぶら散歩しながら語った内容をそのまま本にしたものです。

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小林聡美がぶらぶら世間話。著名人との対談ゆるやか散歩

これも対談集というのでしょうか?

この「散歩」は小林聡美さんが様々な人と散歩をしながら語り合ったことを文字起こしした本。あくまで対話形式なのでエッセイではないです。

しかし、小林聡美さんのエッセイでおなじみのテイストはしっかり漂っています。独特のゆるーい雰囲気。

こういうのも対談集っていうのでしょうか。ジャンルで言えばそういう感じかな。

でも特にかしこまった感じでなく、ほんとうにゆるい感じでしゃべくりあっている感じ。

時に料理、時に生活、時に演技論など内容は幅広いですが、基本は肩の力をぬいたおしゃべり(対談?)がつづきます。

これも散歩ならではの効果でしょうね。散歩しながらリラックスした状態でお喋りすれば、普段とはまた違った自分の中の言葉が生まれてきそうですし。

散歩し、語り合う人々

独特の存在感を放つ女優小林聡美の散歩のお相手は森下圭子(「かもめ食堂」のアソシエイトプロデューサー)、石田ゆり子、井上陽水、加瀬亮、飯島奈美(フードスタイリスト)、もたいまさこ、柳家小三治の面々。森下さん、飯島さんは映画「かもめ食堂」の裏方としてかかわった人たちです。

散歩の相手に選ぶにはかなり個性の強い人が集まっていますね。特に井上陽水さんやもたいまさこさん、柳家小三治さんなどどんな散歩になるんだろうってまったく想像がつかない感じ。

これだけ個性の強い人相手でも「散歩」での小林聡美さんは常に自然体な感じなのがすごいです。どんな大先輩にも臆せず接っしているのが尊敬します(小三治さんにはやや緊張気味でしたが)。

小林聡美と井上陽水との散歩と世間話

パンケーキ

特に面白かったのが、井上陽水さんとの散歩ですね。

代官山から中目黒を散歩しつつ、途中でパンケーキなどをいただくコース。

井上陽水と小林聡美とパンケーキ。不思議な取り合わせ。

陽水さんのあの声の感じをイメージしながら、お二人の会話を想像するとかなり面白かったです。

陽水さんの軽い感じのトークと的確な応対をいれる小林さん。その逆もしかり。

一見噛み合っていないようでがっつりかみ合った不思議な空気感の会話が、なにか一芸に秀でた人同士、通じ合うものがあるんだなというのが伝わってきます。

これって何なのかなって思っていたら、わかりました。世間話。

対談とか対話とか大層なものでなく、散歩しながら交わされる世間話。みなさんにも経験があるようなゆるい空気が常にながれている時間です。

その世間話する人の一方が小林聡美さんでもう一方も個性の強い人というだけで、これだけ面白い話に発展するのだなとワクワクしながら読み進められました。

もたいまさこ、柳家小三治も評する、小林聡美の普通っぽさ

以前、女優小林聡美の普通女子旅なハワイエッセイ「アロハ魂」という記事でも書きましたが、小林聡美さんの魅力に普通っぽさがあると考えています。

魅力や存在感はあるのだけれど、どこか普通っぽさが漂う稀有な女優。でもその普通っぽさがいろいろな役にマッチするんですよね。

「散歩」の中でも同行者にそのことが触れられています。たとえばもたいまさこさんからは

役者ってさ、「この役」って入って、急になんか低い声で、こういう役だからみたいな。ガラッと変わるけど、小林さんは…。本当、人がね、この音で出るだろうなと思うのと、全然違う音ででるとか。それがでも、不自然じゃないの。普通だと、そうやって出ると、絶対に不自然になって。作ってるなって、決めてきたな、こいつって分かるんだけど、この人そうじゃない。こういうふうに、プレーンでいられる人っていない。

との評価が。この「プレーンでいられる」っていうのが小林聡美さんが持っている普通っぽさの魅力なんだと思います。

落語家の柳家小三治さんも

最初この人に僕が思ったのはね、この人、地球の人じゃないよな。どこかの惑星から来た、普通の人。それが私の最初のこの人の結論づけですね。向こうの世界で普通の人なんです。ここへ来ても普通の人かもしれないけど、どこかの惑星から来たんですよ。違うんですね。やっぱり何か違う普通の人。

どこかの惑星から来たという独特の表現をされていますが、やはり普通の人という印象を持たれています。

時に、役者さんなど個性を売りにしなければならない人にとっては普通さというのはデメリットになるのかもしれません。

しかし、どんな場合にでも普遍的な普通さが滲み出て、たとえどのような映画や演劇の世界であっても、その世界でも普通な存在としていられるならばそれは特殊な個性になりうるでしょう。

エッセイとはまた違った魅力のある「散歩」

どこにでもいないけど、どこにでもいそうな魅力的な普通を身にまとう女優小林聡美さん。

そんな落ち着きのある聡美さんの散歩と世間話の数々が収録された「散歩」。

エッセイなどでは小林聡美さんの主観で進行していきますが、「散歩」の場合は客観的な対談風景が楽しめます。これもまたこれで、聡美さんエッセイとはまた違った魅力が楽しめます。

客観的な分だけ、周りの人が気づく、小林聡美さんの自然体で奔放な魅力がより楽しめるのではないでしょうか。

映画の「かもめ食堂」にも似たゆるい空気が常に漂った本なので、映画ファンの方にはおすすめかも。

読んでるとゆるい気持ちに包まれて。寝る前の読書にぴったりなおおらかさ持った本でもありました。