本日も快眠を目指すため、寝る前読書にぴったりな本をおすすめします。
今日紹介する本は「アルケミスト〜夢を旅した少年〜」という小説。
世界的に長年愛されている名作です。
現実に即しながらも、豊かな世界観が広がる話。短い話の中に人生についての教訓や名言がたくさん込められています。
「アルケミスト」を読むたびに、心惹かれる名言に出会う
羊飼いサンチャゴの旅
「アルケミスト」は羊飼いの少年サンチャゴが宝物を求めて旅をするという話です。
サンチャゴが長い長い旅の間に、様々な困難に出会い、またそれを乗り越え、学ぶことで人間的にも成長していくという流れ。
一見すると、よくあるタイプの小説のようにも見えますが、その中には人生訓であったりが込められており、読む人ごとの学びが隠されています。
「アルケミスト」のスピリチャル的な部分をどう見るか
「アルケミスト」はある種、読み手を選ぶ小説です。
これをファンタジー小説と捉えるか、はたまたスピリチャルな本ととらえるか。
後半にかけて、若干スピリチュアルな展開となっていきます。それを小説なのだからファンタジーと捉えればそれまでなのですが、そうは思えないリアリティが「アルケミスト」にはあります。
作者のパウロ・コエーリョさんという方がもともとスペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラへいたる巡礼での様々な体験が自身の考え方のベースとなっているので、作品にそのテイストが出てきています。
パウロ・コエーリョさんの処女作「星の巡礼」も読みましたが、作者自身かなりスピリチャルな体験をされているようなので、その世界観にはまるかはまらないかは人次第(引き寄せの法則的なものも根底に感じます)。
私はあまりスピリチャル的なものが得意ではないので、最後の方の展開には苦手だと思う部分もありましたが、それをさして引いても「アルケミスト」は素敵な教訓に満ちたお話です。
心安らぐ、らくだ使いの名言
主人公のサンチャゴが旅をする中で、あるキャラバンに加わります。
その中でサンチャゴと仲良くなったらくだ使いの言葉がとても好きです。
「私は食べている時は、食べることしか考えません。もし私が行進していたら、行進することだけに集中します。もし私が戦わなければならなかったら、その日に死んでもそれはかまいません。
なぜなら、私は過去にも未来にも生きていないからです。私は今だけにしか興味を持っていません。もし常に今に心を集中していれば、幸せになれます。
砂漠には人生があり、空には星があり、部族の男たちは人間だから戦う、ということがわかるでしょう。人生は私たちにとってパーティーであり、お祭りでもあります。なぜなら、人生は、今私たちが生きているこの瞬間だからです。」
これは様々な名言に富む「アルケミスト」の中でも一番のお気に入りの言葉。
この時、サンチャゴたちは部族間戦争にまきこまれるかもしれないと、恐れていました。しかし、らくだ使いは上記の理由から戦争の心配をしていませんでした。
ある種、瞑想やマインドフルネスに通じる心持ち。しかし、らくだ使いはそれらのことは知らないと思います。
むしろそれらの感覚を砂漠という過酷な生活の中で獲得して行ったのでしょう。心の安らぎ方をらくだ使いの日常を通した言葉として語られているのが素敵だなと感じます。
寝る前の時間に、「アルケミスト」のこの部分を読むだけでも少し人生にとって何を重要視すべきか再確認でき、心が安らいでいきます。
その他感銘を受けた名言
感銘を受けた言葉(名言)を引用させてもらいます。
「時々私は不満を言うけれど」と心は言った。「私は人の心ですからね。人の心とはそうしたものです。人は、自分の一番大切な夢を追求するのがこわいのです。自分はそれに値しないと感じているか、自分はそれを達成できないと感じているからです。永遠に去ってゆく恋人や、楽しいはずだったのにそうならなかった時のことや、見つかったかもしれないのに永久に砂に埋もれた宝物のことなどを考えただけで、人の心はこわくてたまりません。なぜなら、こうしたことが本当に起こると、非常に傷つくからです」
(中略)
「傷つくことを恐れることは、実際に傷つくよりもつらいものだと、お前の心に言ってやるがよい。夢を追求している時は、決して傷つかない。それは、追求の一瞬一瞬が神との出会いであり、永遠との出会いだからだ」
(中略)
「僕が真剣に自分の宝物を探している時、毎日が輝いている。それは、一瞬一瞬が宝物を見つけるという夢の一部だと知っているからだ。本気で宝物を探している時には、僕はその途中でたくさんのものを発見した。それは、羊飼いには不可能だと思えることに挑戦する勇気がなかったならば、決して発見することができなかったものだった〜」p154〜
勇気というものについて考えさせられます。恐れや不安で何もしないことに対し、さまざまなわずらわしさを払いのけ勇気と共に目的に向かっていけばそこから学ぶことの多さや素晴らしさはどれほどのものでしょう。
「その時は、おまえは夢を実現する途中で死ぬのだ。それでも、自分の運命が何か知りもしない何百万人よりかは、ずっといい死に方なのだよ。しかし心配することはない。」さらに錬金術士は続けた。「普通、死の脅威は、自分の人生について、人に多くのことを気づかせてくれるものだ」〜p168〜
しなかった後悔はないよりも辛いといいます。死の間際に立った時、何が必要で何をしたかったのか。その時に悔いても遅いのです。自己への戒めとして。
上記のように感銘を受ける名言がいたるところにあります。パウロ・コエーリョさんが今までの体験の中で獲得してきた、スピリチャルながらも普遍性のある人生訓のよう。
名言というのは必要な時に光り輝き、目に飛び込んでくるもの。「アルケミスト」は読むたびにひかれる言葉に巡り会える不思議な本です。