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地獄の仕組みがわかるギャグマンガ「鬼灯の冷徹」

鬼あるいは悪魔イメージよく寝る本

本日も快眠を目指すため、寝る前読書にぴったりな本をおすすめします。

とうとつですが、私の棲んでいる地域の図書館では、結構漫画のラインナップが豊富です。

これを他の地域の友人に話すと結構羨ましがられるので稀なことなのかもしれません。

漫画のジャンルはなんでもありというわけでなく、スポーツ(例:スラムダンク)や科学(例:宇宙兄弟)、歴史(例:三国志)などある程度学術や教育にリンクするようなものを選書しているようです。

さて、そんな中で私がはまっている「鬼灯の冷徹」のご紹介。

漫画の舞台は地獄!学術的といえば宗教ジャンルで学術的(?)な漫画です。「寝る前の読書に地獄の漫画ってどうよ?」って思われるかもしれませんが、これがなかなかほんわかギャグでおすすめです。

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地獄の仕組みが学べる漫画「鬼灯の冷徹」

地獄の中間管理職「鬼灯」

地獄。イメージとしてはまんま地獄。とにかく恐ろしい場所。

小さい頃は何が原因かしりませんが、一時地獄がものすごく強かった時期があります。鬼も怖いですが、死んだ後も苦しみ続けるとか冗談じゃないと。

「鬼灯の冷徹」はそんな地獄をテーマにした漫画です。

主人公は地獄において閻魔大王の第一補佐官をつとめる鬼「鬼灯(ほおずき)」。とにかくやり手の鬼で漫画の中ではどこか頼りない閻魔大王のサポートに徹しています。

鬼灯の性格としては真面目、冷徹、仕事熱心。超やり手の地獄の中間管理職といった感じ。

この鬼灯が真面目に各地獄の部署の仕事を回していく中で起こる笑える地獄風景がいい感じのコメディに仕立てられています。

地獄の仕組みがわかる

歯車

「鬼灯の冷徹」で面白いのは、地獄の仕組みが詳しく分かるというところ。

今まであった、漠然とした地獄のイメージは無秩序で荒々しいイメージでした。しかし「鬼灯の冷徹」の中で描かれる地獄はかなりシステマティックな仕組み(会社?)で成り立っているようです。

地獄と言っても様々な地獄があり、罪によって振り分けられる場所や拷問も違ってきます。死後、いわゆるあの世というところで、どのような裁き(裁判システム)を受けるのか、どのような救済処置があるのか、どんな罪を犯せばどのような地獄に落ちるのかまでわかるので、結構マニアックな心をくすぐられます(難しい漢字の地獄が多いので、名前までは覚えきれませんが)。

そういう地獄の仕組みの部分は史実や文献に照らし合わされており、結構勉強になります。そう書くとかたい感じに思われるかもしれませんがさにあらず。

結構現代風というオリジナル設定も混ぜ込まれているので、わりとすんなり頭に入って来やすいです。たとえば鬼などの獄卒もそれぞれに家庭があり、仕事時間なども決まっていてわりと福利厚生もよさそう。

地獄という死後の世界をこういう現代社会に照らし合わせて表現しているのでかなり馴染みやすい。本来持っていた地獄のイメージと規律正しい地獄の仕組みのギャップが結構いい感じのギャグになっています。

ただし罪をおかした亡者への拷問は従来のイメージ通り切る、焼く、煮るのオンパレード。ですがかなり表現がマイルドなのでスプラッターや嫌悪感を抱くといった類にはならないです。

漫画を読みながら地獄や世界の宗教観がわかる

宗教観

「鬼灯の冷徹」は基本1話完結系のギャグマンガ。鬼灯が地獄の各部署を回ったり、仕事をしたり、外交などを行う中で地獄の構造というものも自然にわかってきます。

死んだら即極楽か地獄かという構図ではなく、あくまで裁判を通してからという仕組みが確立されています。

今の日本の裁判システムにも似た数多くの審判を時間をかけて行うことで、死後の行き先が決まるみたいです。

漫画で描かれる地獄は大きく八大地獄や八寒地獄に分かれており、犯した罪によって送り先が分かれており、またその拷問の種類も多々あります。

「鬼灯の冷徹」は基本日本の地獄極楽をベースにしていますが、日本神話系、古来からの信仰、海外(エジプト、中国、ギリシャなど)神話などの神様や悪魔、妖怪などのキャラクターが交わることで世界との死生観の比較やあの世の仕組みなど学ぶこと多し。

ギャグパートも多いですが、こういった宗教観の説明にも結構ページを割いているので、複雑なあの世の仕組みがわりとすんなり入ってきます。昔の人が考えたあの世の構造ってある部分では理詰めでできてるんだなっと感心も。

地獄の成り立ちとクトゥルフ神話あるいはアメコミ

「鬼灯の冷徹」で言えば、地獄の細かい部署分けが興味深いです。なぜこの罪でこういう拷問があるのか、こういう罪を犯すと罰が重くなるのか(僧侶に対する罪などは罰が重いようです。この辺も仏教由来を感じます)、地獄にはどのような生物が生息しているのか、そもそも誰がこの世界観を考え出したのかなど気になることばかり。

特に地獄の世界観などははるか昔、一人の人だけではなく多くの人のイメージで構築されていった感がありますね。今で言う所のオープンソースな感じ。様々な人が改良を重ねたりアップデートしたりで複雑な仕組みやシステマティックな世界観を作り上げていくみたいなもんでしょうか。

書いていて思ったのですが、SFファンの人々に人気のあるクトゥルフ神話と似通ったところが。クトゥルフ神話もラヴクラフトのベースがあった上で様々な人々が解釈や体系化を重ねた上で骨太の世界観が出来上がっています。

きっと地獄の仕組みや世界観も多くの人と長い年月を経ることでより論理的で体系的、そして骨太の世界観として現在まで恐れられるものになっていたのでしょう。

よくよく考えるとアメコミは全部こんな感じですね。バットマンやスパイダーマンなども様々な作者が様々な解釈で描いているし、他のアメコミキャララクターとのリンクで世界観が複雑に広がっています。

地獄や極楽など死後の世界のイメージをフィクションと言い切る分けにはいきませんが、様々な神話の世界にしろアメコミにしろ面白さや興味を引き、国柄にかかわらず長く人を惹きつける世界観を持ったイメージというのは多くの人の手で練り上げられたものが強いです。ある種、思い入れの強いファンと作り手のシナジー効果とでもいいましょうか(参考:不思議の国から戻ってきた少女のその後は?「不思議の国の少女たち」)。

それでは宗教的世界観とクトゥルフ神話やアメコミの世界観の差はなんなのか。フィクションの差?人々の人生に与える影響力の差?特に答えはありませんが、この辺のことを色々考えていくのも面白いです。

こうやって色々考えて、その本で出てきた話題にまつわる他の本に手を出して、そういったリンクが広がっていくのも読書の面白いところです。

結局「鬼灯の冷徹」は気楽なギャグマンガ

いろいろと書いてきましたが、一番言いたいことは「鬼灯の冷徹」は気楽に読めるギャグマンがということです。

地獄を題材にしていますが、深刻な内容なんてこれっぽちもないし、キャラクターはかわいいし、展開ものほほんとしたものが多いです。

一話完結系なので読みたいところまで読めばよし。「鬼灯の冷徹」の、どこかファンシーな地獄で鬼と古今東西の神話あるいはあの世キャラクターが一生懸命やっているところを見てほんわかするもよし。

寝る前のひと時に、布団の中でぬくぬくとしながらほっこり読みたいおすすめマンガです。

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