私が全ての作家の中で一番敬愛している方がこのシリーズの作者東海林さだお大先生です。
(一番敬愛しているので”大先生”と呼ばせていただきます)
東海林大先生の本ほど面白く、分かりやすく、なおかつ眠る前に読むのに最適な本はないと私は思っています。
その中でも推したいのが様々なことがらをとりあげるエッセイ「ショージ君シリーズ」です。
庶民派エッセイ!ショージ君シリーズのおすすめポイント
東海林さだおとはいかなる人物か
東海林さだお大先生はある程度の年齢の方ならかならず目にしたことのあろう漫画家さんです。
代表作は「アサッテ君」。1974年6月16日から2014年12月31日まで40年の長きにわたり、毎日新聞朝刊に四コマ漫画を連載し続けてきたベテラン中のベテランです。
他にもおじさん系の雑誌などに多数作品を掲載しており、サラリーマンや一般庶民の悲哀やおかしみを独自の視点からゆるい、のんびりしたタッチで描き出しています。
東海林さだおのエッセイは日本庶民史の至宝である
漫画も面白いのですが、私が一番推したいのは東海林大先生のエッセイです。
これが抜群に面白い!大笑いするとかの面白さではなく「これぞ可笑しみか!」と腑に落ちる面白さ。
東海林さだお大先生のやや斜め下から覗きあげるような視点で描かれるエッセイ(いや随筆と呼んでもいいかも)はどれも絶妙な面白さを持っています。
旅行記から、新しい施設や器具の体験、食に時事ネタと内容は様々。
時には世界的数学者と対談したかと思えば、自称神さまとの対談も。貧乏旅行をあえて味わうためにボロボロの安旅館を探したり、バスツアーや劇場小屋、ディナーショーでおばさんの生態を観察。
フェリーでは新婚夫婦に嫉妬し、よくきしむ安宿では構造上の理由からカップルはくるなとまで言う。
シークレットシューズの体験記から寿司屋やホテルは客を馬鹿にすることに生きがいを感じていると言い切るなど方向性の多様さが半端ではない。
シリーズの最初の作品「ショージ君のにっぽん拝見」は1971年から始まっているので、昭和後期から現代までの日本の庶民史がわかります。
キングオブ庶民の視点で描くエッセイ
大先生の描くエッセイの面白さの特徴は誰もが納得する「キングオブ庶民」の視点であると思います。
「あるある!」、「わかるわかる!」とすんなり納得できる、読者=庶民目線の感度がものすごい作家さんです。
普段、何気なく生活していて気付かないようなことでも細かく掘り起こし、それを面白おかしく提示してくれる大先生のエッセイ。
日常や社会のことを描いているはずなのに、そこには重たさや深刻さは一切なく、ただただ東海林さだお大先生の可笑しみワールドに包まれるのです。
古代においてプラトンはイデア論というものを提唱しました。天上にはイデア界というものがあって、そこにはあらゆるものの真実、実体があると。
もしイデア界というものが本当にあるとすれば、そこにある真実の庶民は東海林さだお大先生じゃないかと思っています。
私は東海林さだお大先生の文章の軽さと可笑しみがとにかく好きで「嗚呼、こういう文章を書けるようになりたい。。。」と大きな目標にもしています。
(ただ、絶妙な肩の力の抜け感文章は到底常人の真似できるところではありませんが。)
エッセイ界のイチロー
「ショージ君シリーズ」のすごいところは、1974年から始まり数多くの作品があるにもかかわらず、どれもコンスタントに面白いということです。
私は他にも多くの好きな作家さんはいますが、やはり作品の面白さにばらつきはあります。
しかし東海林さだお大先生のエッセイに関していえば、飯テログルメエッセイ「丸かじりシリーズ」をはじめ、どの年代においても、どんなジャンルのエッセイでも確実に面白いのです。
決して作家界のホームラン打者ではないかもしれません。しかし確実にヒットを生み出すエッセイ界、作家界のイチローであると私は言いたいです。
寝る前読書にオススメな理由
気楽な気分になれる面白さ
「ショージ君シリーズ」をオススメする最大の理由は面白さと可笑しみという点です。
どれも感情を激しく揺さぶるタイプとは違う、のんびり、気楽な気分になれる面白さと可笑しみなのです。
先ほども言ったように、エッセイなので日常社会のことを描いています。
作家さんにもよりますが、エッセイは時に社会の深刻な面を考察したり、読者とはあまりに掛け離れた作者の生活を描いているものも多々あります。
もちろんそういう作品も面白いのですが、寝る前にぼんやり気楽な気分になれるというには少し違うと思います。
東海林さだおの庶民派エッセイにファンは多い!
「ショージ君シリーズ」においては日常生活や社会のことを描いてもどれも面白さ、可笑しみを持っているのでどっぷり気楽な気分に浸れます。
どんなことでも面白おかしくしようという、サービス精神と適度に肩の力がぬけた至極の庶民派エッセイです。
気楽な東海林ワールドに浸っていると、寝る前の読書時間がとてもまったり幸せタイムに。
私の枕元には常に「ショージ君シリーズ」と同じく東海林さだお大先生の「丸かじりシリーズ」が1冊づつ置いてあります。
(ちなみにお風呂にも持っていきます。友人などでも東海林大先生ファンは多く、通勤途中やトイレの中などながら読みに愛読している人も多いです)
1日の頭の疲れを取るのに、これほど最適なエッセイは他にはなかなかないでしょう。
あまり本を読まない人にもおすすめな読みやすさ
くだけた文体と言いましょうか。普段あまり本を読まない人にもすんなり受け入れられやすいと思います。読みやすいですし、ぐいぐい引き込まれる面白さも!
もともとややおじさん向けの雑誌などで連載されていたので、文体自体が難しくないです。
普段読書に慣れていない人にも読みやすいので、寝る前読書の入門編としておすすめします。
こんな人におすすめします
- 普段あまり本を読むのに慣れていない人
- 寝る前に楽しい気分になってから眠りたい人
- 気楽な話が好きな人
- 紀行文が好きな人
- エッセイが好きな人
シリーズでは数多くの作品がでているのでどこから読み始めても面白いです。
しかしあえておすすめするとすれば「なんたって「ショージ君」―東海林さだお入門」をおすすめします。
ベスト版ですので、面白い中でも面白い磨き抜かれたエッセイが厳選されています。
唯一難点をあげれば、分厚いので寝る前に布団の中で読むには(重量的な意味で)少し重たいかもしれません。
その分目一杯つまってお得感があるので、まずはこのベスト判からオススメします!
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